

栗コーダーカルテット
01 静かに静かに!
THE SUZUKI&栗コーダーカルテット
09 大寒町
02 聖地エルサレム
03 マヨネーズ第二番
04 Jam The Housnailのテーマ
05 消えたかに道楽
06 くつやのマルチン
07 ツーリスト・トラップ
08 アデステ・フィデレス
10 A BLUE COLORED WOMAN
11 燃えつきた家
12 黒いシェパード
13 高架線上の魔人達
14 Tracker(探索者)
15 ROMEO,JULIET & FRANKENSTEIN 2
16 悲しい午後
17 BARRY AND THE COAL CRACKERS
18 MY NAME IS JACK
19 花咲く乙女よ穴を掘れ
20 ROMEO,JULIET & FRANKENSTEIN 1
アンコール:
21 朝日のない街
22 BACKSTAGE PASS
−MUSICIANS−
栗コーダーカルテット:
THE SUZUKI:
鈴木慶一
鈴木博文
栗原正己
川口義之
近藤研二
関島岳郎
考えてみると、ずいぶんいろんな場所で栗コーダーカルテットを聴いてるような気がします。九段会館のようなホールから、渋谷クアトロのようなライヴハウス、そして池袋WAVEや渋谷タワーレコード、横浜ヴァージンのような店内ライヴに至るまで。弘法は筆を選ばず、栗Qは会場を選ばずって感じですね。
そして栗QとTHE SUZUKIの今回の舞台は、川崎市民ミュージアム。普段は芸術系のイベントを開催している「お文化」な施設だそうで、栗Qはともかく、あの不良中年兄弟がなぜそんな場所でやることに? なんて思いつつ会場に入ると、そこはまさに独特の空間。一段低い場所にステージを構え、周囲を階段状の客席が半円形に取り囲むというスタイルでした。ここは普段は展示場だそうで、妙に天井が高い(20メートル以上あるらしい)のも意外でした。
定刻通りに、まずは栗Qが登場、上下とも白の衣装です。スタートは「静かに静かに!」で、「聖地エルサレム」「マヨネーズ第二番」「Jam The Housnailのテーマ」と続きます。今まで何度となく聴いた曲なのに、こういう芸術系の施設で聴くと、彼らの現代音楽的な要素が前に出てくるような気がしました。現金な話ですね。でも、表面的には穏健なようでいても、やっぱり彼らの音楽には物凄くアグレッシヴなものを感じてしまうんです。
栗Qがインストを演奏しはじめると、客席後方からセーラー服を着た怪しい男2人が現われました。なんだろうこの人達は?と訝しがっていると、ステージまで行ってしまったじゃないですか。彼らが席に着くまでTHE SUZUKIだと気づかなかった僕も相当鈍いようです。まさかセーラー服を来てくると思わなかったもんで。
そして始まったTHE SUZUKIと栗Qの共演、まず最初は「大寒町」から。1月の栗Qライヴ以来、ストアライヴなどでも何度か共演している曲ですが、この日はより哀愁度高いアレンジでした。
MCでは、「今日はライヴ・レコーディングしているんで、咳をして自分をアピールしてください」と慶一さん。僕も咳をしとけばよかった(笑)。
アコースティック編成の「ROMEO,JULIET & FRANKENSTEIN 2」は、打ち込みだったオリジナルとは全く違った色合いに。この曲でも慶一さんのピアノが印象的でした。
アンコールでは再び全員が登場。しかし、よく見ると博文さんがドラムセットに座ってるじゃないですか。威勢よくドラムを打ち鳴らして「朝日のない街」がスタート。ドラミングのおかずが少なくても、叩く態勢が斜めに傾いていても、そして中年でもロッケン・ロール!って感じが痛快でした。
そして栗Qは退場。この日最後の曲は、先日のメトロトロン・ワークスも締めくくった「BACKSTAGE PASS」でした。この日も慶一さんのギター・博文さんのハープで演奏されたものの、途中でどこからともなく笛の音が。博文さんの口元を見てもハープは吹いてないし…と、上を見上げると、栗Qの4人が会場の上のスロープでリコーダーを吹いていたのでした。マイク無しで反響のみでかすかに響く音色が、この日の静かな幕引きを彩っていました。
それにしてもこの日は名演揃いでした。特にTHE SUZUKIの曲では、アレンジャー集団としての栗Qの素晴らしい能力が見事に表れていました。オリジナルでは意図的に泥臭いロック・アレンジだったTHE SUZUKIの曲が、栗Qの多彩な音楽的引き出しによって、表情も色彩感も一気に増していたのですから。ほとんどすべてアコースティック編成だっただけにショックも大きく、もう「おお、この曲ではこう来たか!」ってな驚きの連発でした。
ムーンラーダーズのファンクラブ関係の入場者が多かったようで、300人限定という入場者の少ないライヴだったのが残念なくらい。この日のライヴは語り継がれますよ、きっと。
また、この日の「消えたかに道楽」は、今までより一層ささくれた感じが。「くつやのマルチン」「ツーリスト・トラップ」と続き、11月発売のクリスマス・アルバムからの曲「アデステ・フィデレス」で栗Qのステージは締めくくられました。
「燃えつきた家」では、栗原さんがドローンを演奏。アイルランドで用いられる箱型の楽器で、低い持続音が出ます。そこに慶一さんが詠唱のようにコブシをまわして、一気にアイルランド風の土の匂いがするサウンドに。これには驚かされました。
続いては、なんとムーンライダーズの壮大なナンバー「黒いシェパード」が。オリジナルはサンプリング音が少々安っぽかったのが残念でしたが、今回はすべて生楽器。しかも大仰ではないのにスケールの広さを感じさせるアレンジで、思わず鳥肌が立ちました。
「高架線上の魔人達」では、慶一さんのピアノソロも。
「Tracker(探索者)」は、オリジナルよりも一気にテンポを落とし、バンジョー・アコーディオン・トロンボーンなどの編成で演奏され、曲本来のいい味を引き出していました。
ただでさえ寂寥感ぶちかましで、幼児時代のトラウマをくすぐるような「悲しい午後」は、アコースティック編成によって、さらに黄昏た空気を倍増。
「BARRY AND THE COAL CRACKERS」の後、ロックっぽ演奏に乗って、栗原さんと関島さんがアドリブでリコーダーを吹き始めました。しかも栗原さんは一度に2本吹くという妙技まで披露。そしてそのリズムが突然止まって始まったのが、「MY NAME IS JACK」。そう、ムーンラーダーズのヴァージョンでも、イントロでリコーダーが使われていた曲です。
川口さんと近藤さんがバウロン(片面太鼓)を打ち鳴らしたのは、ムーンラーダーズの露悪性が結晶した曲「花咲く乙女よ穴を掘れ」。これまたアコーディオンがいい味出してました。
そして「ROMEO,JULIET & FRANKENSTEIN 1」が本編のラストでした。
