「カバのオツム」カバー楽曲完全解説




94年に発売されたバイオスフィアからの第1弾アルバム「カバのオツム」はカバー曲中心のアルバムでした。ボーカルスタイルやサウンドの大きな変化はもちろんのこと、選曲のユニークさにも驚かされました。ところが、桜川唯丸は言うに及ばず、最近ではJAGATARAやボ・ガンボスのことを知らない人も多いんですよね。そんなわけで、1人でも多くの人が彼らの音楽と出会うことも期待しての、「カバのオムツ」のカバー楽曲完全(たぶん)解説です!

1.MOON RIVER


オリジナル・アーティスト:ヘンリー・マンシーニ
収録CD:「ティファニーで朝食を」オリジナルサウンドトラック
発売年:1961年
発売元&CD番号:BMGビクター BVCP-1024


ご存じ、オードリー・ヘプバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」のテーマ曲。作曲はもちろん映画音楽の巨匠、ヘンリー・マンシーニ。 映画の中ではギターを弾きながらオードリーが歌っているのに、サントラ盤には彼女の歌は入ってなくて、彼女の歌う「ムーン・リバー」は、「オードリー・ヘプバーン・スクリーン・テーマ・ベスト」(写真右・BVCG-618)で聴くことができます。
また、この曲のカバーは93年のテープ「ハイポジ」にも収録されていました。
バイオスフィアの 「カバのオツム」のページでは、ハイポジの「ムーン・リバー」をリアルオーディオで聴けますよ。


2.ポケットの中


オリジナル・アーティスト:BO GUMBOS
収録CD:「ULTRAVELIN’ ELEPHANT GUMBO」
発売年:1992年2月21日
発売元&CD番号:EPIC SONY ESCB1280


87年に結成。「ボ・ディドリー+ガンボ」という名前からもわかるとおり、ニューオリンズをはじめとした黒くてぶっとい音楽のチャンプルーを聞かせたのが彼ら。どんとの破天荒で能天気なキャラクターもあって、本領発揮のライブは、もはや一種の祝祭空間でした。95年に惜しまれつつ解散。
「ULTRAVELIN’ ELEPHANT GUMBO」のラストを飾るこの曲は、ザディコやテックス・メックスを思わせる、メキシカン・テイストのアレンジです。
この曲は、ライブ音源の編集盤「ずいきの涙」やソウルフラワーユニオンの中川敬が選曲したベスト盤「ベスト・オブ・ボ・ガンボス」(写真右・ESCB-1675)でも聴けます。
なお、バンドの解散後どんとは沖縄に移り住み、95年にソロアルバム「ゴマの世界」を発売。佐野元春のバックで活動中のKYONも、96年に遂にソロアルバム「6210 IN MY HOUSE」を発売しました。どんとは解散しても相変わらずでいいなぁ。


3.そらそれ


オリジナル・アーティスト:JAGATARA
収録CD:「おあそび」
発売年:1990年6月21日
発売元&CD番号:BMGビクター BVCP-1024


今ではこのバンドは「伝説のバンド」ということになってしまうんですね。先日のライブにも参加したエマーソン北村や、ハイポジのサポートもしていた村田陽一、そして亡くなった篠田昌巳もJAGATARAのメンバーでした。
79年に結成、当初はボーカルの江戸アケミの異常なパフォーマンスで有名になったものの、次第に黒人音楽を吸収した高度なサウンドで高い評価を得るようになりました。インディーズで人気を博し、89年にはメジャーデビュー。しかし90年の江戸アケミの事故死によって、JAGATARAは「永久保存」に。この「そらそれ」は、彼が最後に録音した曲です。
この曲の7バージョン(!)を収めたミニアルバム「そらそれ」(写真左・BVCR-9001)が発売された後、海外のゲストを迎え、OTOが中心となって制作された企画盤「おあそび」に収録されました。また、2枚組ベスト盤「西暦2000年分の反省」にも収録されています。
「そらそれ」の原曲は、南アフリカの音楽・ムバカンガを意識したような打ち込みのサウンドです。


4.黒い雨


オリジナル・アーティスト:桜川唯丸
収録CD:「ウランバン」
発売年:1991年
発売元&CD番号:WAVE WWCP4006


この曲が「カバのオツム」の中で最も意表を突いた選曲では?
滋賀県地方の盆踊り歌「江州音頭」一筋半世紀の大ベテラン、桜川唯丸が放った大傑作「ウランバン」収録の曲。現在は沖縄のネーネーズのプロデュースを務める佐原一哉率いるスピリチュアル・ユニティとともに制作されたこのCDは、発売当時その筋(どの筋?)の人々を狂喜させました。音頭といっても、演歌みたいなのじゃなくて、それこそラップみたいな音楽なんです。それがこのアルバムでは、ロックやアフリカやレゲエから、童謡やら般若心経やらチンドンまで、とんでもなく雑多な音楽要素を注入、江州音頭の一大万華鏡を展開しています。
その中で「黒い雨」は異色な曲で、ガムランのサンプリングやクロンチョン(インドネシアの音楽)っぽいリズム、そしてコブシの効いた歌が印象的な渋い曲です。
新作だしてー!!


5.嘲笑


オリジナル・アーティスト:ビートたけし
収録CD:「嘲笑」(シングル)
発売年:1993年6月23日
発売元&CD番号:ビクター VIDL-10313


漫才ブーム以降、80年代は活発にレコードを出していたビートたけしも、「文化人度」が高くなるにつれ、音楽方面の活動は少なくなっていきました。この曲は深夜番組「北野ファンクラブ」のテーマ曲として発売された曲。シングルのほかに、「たけちゃん・ガンバレ!」(写真右・VICL-8112)や「Singin' Loud 2」などの編集盤でも聴けます。
作詩はたけし自身で、作曲は玉置浩二、編曲は服部克久という豪華なメンツ。そして、なんといっても歌詞が素晴らしい。ストリングスをバックに、たけしの朴訥としたボーカルで歌われると、何ともいえない味わいが。
なお、彼自身の作詞作曲による「浅草キッド」も胸を締めつけられる名曲なので、ぜひ。
また、ハイポジのカバーバージョンは、テレビ東京系の深夜番組「高城剛X」のエンディングテーマとして使われました。深夜に縁のある曲なんですね。


6.僕でありたい


この曲はハイポジのオリジナル、93年のテープ「ハイポジ」にも収録されていました。
骨太でアクの強い楽曲を多くカバーしたアルバムの最後で、「僕でありたい」と歌うことに、偉大な先達への敬意と、それを吸収して自分達の表現を追求したいという意志を感じると言ったら、深読みのしすぎでしょうか?




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