since 14/DEC/96
 
小心者の杖日記
 
ロゴデザイン BY ゴー
 
531日 (sun)

 遊び仲間の高校生3人組の学校が文化祭だっていうんで遊びに行く。メンツは、Jさん(僕よりひとつ上・男)とKさん(僕と同い歳・女)、そして僕。学校に着いてみたものの、盛り上がってるんだか違うのか判然としない雰囲気。なんか他校の生徒と生徒の親が多くて、僕らの年代はほとんどいなかった。各教室の展示やらイベントも、やる気がなくてだらけた感じ。エネルギーの発散の仕方を知らないのかなぁとも思ったが、まぁそんなオヤジ臭いことは言いっこなしだ。

 やる気を感じさせたのは、体育館で演奏会をやってた音楽部と、3人組が所属する美術部ぐらい。作品を見ると、Oさんは写実志向だとか、Mちゃんはポップな作風だとか、性格が出てて面白い。Rちゃんなんか油絵でT.M.Revolutionの西川を描いてて、これには僕も降参。学校という場で見る彼女たちはすごく歳相応に子供で、初めて歳の差を感じたりもした。今まで感じなかったのもおかしいんだが。

 僕らは一旦学校を出て、駅前の喫茶店へ。「カウボーイビバップ」のサントラのジャケツトがめちゃくちゃカッコいいとかオタク話に花を咲かせる。その後、片付けを終えて来た3人組と合流。パフェ食ってからカラオケへ行き、歌い踊る彼女たちに「若い衆は疲れ知らず」という事実を見せつけられる。

 解散後、僕ら年配組(V6におけるトニセン状態)は同じ方向の電車になる。「今は俺らと遊んでてても、来年大学入ったらあの子達も変わっちゃうんだろうねぇ」「そうだよなぁ」なんて僕とJさんで寂しさチラリで話していたら、「女の子ってガラリと変るけど、仕方ないことなんだよ。私も時々自分に言い聞かせてるもん。それに結婚した子なんてどんどん遠ざかるしさ」とKさんが力説。そうだよなー、さすが同性は分かってるわ。その点俺らは、心優しくモラトリアムなオタク少年なんだね、まだまだ…なんてことをJさんと語りあい、長袖最後の日は終わったのだった。

 
530日 (sat)

 劇場公開時に見逃してしまった、河瀬直美監督「萌の朱雀」がレンタルに入荷していたので観る。鉄道建設が中止された過疎の村に住む一家が離散して行くまでを、淡々と描いた作品だ。静けさに包まれた作品だが、それは退屈であることとイコールではなく、目を離せないような緊張感が漂っている。映像は光の捉えかたが印象的で、湿度まで伝わってきそうだ。父親役以外は全員素人だそうだが、とても信じられないほど役者たちが物語の中に入り込んでいる。家族の関係が分かりづらいとか、父親の死があっさりしすぎているという不満もあったが、それでもモノローグ的な心情説明無しで、しっかりと物語を生み出している点には本当に衝撃を受けた。特に後半、父親の死後の家族それぞれの姿の描写は、息が詰まるほどに濃密だ。甥っ子と娘の、祭の夜や屋根の上でのシーンは優しくもあるが、同時に一定の距離を保ち続ける点が切ない。過剰なドラマチックさがなく描写がクールである分、やや味が濃すぎるほどのラストに、グッと来てしまった。


 
529日 (fri)

 岡崎京子の新刊「UNTITLED」の装丁はとても美しい。充実した内容と合わせると、悲しくなってくるほどだ。現在彼女がまだ療養中のため、「UNTITLED」という名で発売されたそうだ。

 3話まである「万事快調」は、3姉弟とボケた祖父の4人家族を、姉弟それぞれの視点から描いた作品。各自が抱えてるものと、家庭という場との距離を、暖かくも乾いた視線で表現している。もっと続く予定だったのなら、休筆を余儀されていることが惜しまれる。連作「恋愛依存症」は、ちょっと意外なオチのKARTE.3が一番好き。人生ってやつの影をチラリと見せる「お散歩」には、僕はもう切なさ爆裂だった。そしてこの単行本の中で最も印象に残ったのは、「ロシアの山」。ひとりの女の子の初体験を描いただけの作品なのだが、実験色の強い見せ方が鮮やかで、ちょっとした衝撃を受けた。彼女の大コマの使い方っていまいち馴染めなかったんだけれど、この単行本に収められている作品にはけっこう納得。「リバーズ・エッジ」以降の最近の彼女の単行本の中では、一番好きかもしれない。

 夜10時頃、So-netからサーバーが復旧したとのメールが来る。やっとFTPを使える状態になったので、この日記とハイポジ-BODY meets SING-を更新。ハイポジの方は、今年1月以来実に4ヶ月ぶりの更新で、本当は全面改装もしたいところなんですが、とりあえず「NEWS」だけレイアウトを変更してお茶を濁してみました。

 
528日 (thu)

 今日でマニアの受難開設1周年。あのページを作ったのはもう2・3年前のような気がするけれど、それもエヴァやら何やらで、この1年間とても濃い時間を送ってこれたおかげなんだろう。そんなわけで、「文化の極み」のムーンライダーズの解説に手を入たほか、リンクに2サイトを追加。他にも、各段落の文頭を1文字下げたり、「(笑)」を削ったり、かなり地味な作業もする。いやはや、1年前に書いた文章を読み返すことがあれほど苦痛だとは。

 そして「マニアの受難」1周年を祝すかのように、So-netのwww02サーバーのCGIが全面ダウン。ハイポジ-BODY meets SING-SWAYの掲示板に書き込めないというメールが来たので、試したところ本当にエラーが出てしまう。こりゃ借りてる6MBの容量を越えてしまったかもと、不要なファイルを消すためにFTPにログインしようとしたんだが、まったく接続できない。この段になって、どうもSo-netがおかしいと気づきはじめた。

 で、So-netのサポートセンターに電話したものの、何度かけても話し中。受話器を外してるんじゃないかと勘ぐってしまった。So-netのページに行っても、障害についての緊急連絡がないので、何が起きたのかすらもわからない。まぁ今夜中には直るだろうと楽観していたのだが、やっとSo-netのページに載った緊急連絡を見たら、なんと土曜の昼まで復旧不可能っていうではないか。ふざけんなコラ!ってもんだ。しかも連絡されたのは、朝に障害が発生してから実に12時間以上経ってから。今月のパスワード流出騒動といい、So-netって本当にグレイト。僕もそんな仕事ぶりで給料もらってみたいですよ。

 掲示板は過去の書き込みを読めるものの書き込めず、「ハイポジ」「SWAY」o u t d e xの、SSIを使ったカウンタも停止してしまった。FTPにログインできないので、当然ページの更新なんてできないというわけで、まさに踏んだり蹴ったり。この日記を書いてる時点ではまだサーバーがイカレたままだ。本当に復旧するのかしら。

 そして友人たちから言われた言葉が、「So-netやめたら?」。僕もそう思う。でも、これだけページを作成してしまうと、もう身動きが取れなくて。正確に言うと、移動時にリンク先に通知しなくてはならないのが面倒なのだ。そんなわけで、僕はもうSo-netと心中します。好きでもない女と心中する気分で、命尽きるその日まで、この日記をお送りいたします。

 
527日 (wed)

 島田雅彦「君が壊れてしまう前に」読了。「かつて14歳だったあなたへ。いま14歳の君に。」なんて帯の文句とこのタイトルに、つい「あの少年」を連想してしまうけれど、実際はあの少年が逮捕される前に書かれた小説だった。タイトルも連載時とは変更されていて、オリジナルの題名は「甦る青二才」。

 現在は大人である主人公の回想をはさみながら、彼が少年だった1975年の1年間の日記がそのまま並べられている。つまり、元旦に始まり大晦日に終わるまで、365日分の日記が書かれているわけだ。これだけ小さな要素を集めながらひとつのグルーヴを生み出すのは、なかなか力量が必要だろう。書くのも面倒そうだし。

 主人公は恋をして、オナニーをして、喧嘩をして、映画だバンドだと動き回り、時には自殺を考えたりもする。父親は女を作って家出、母はそのショックで買い物魔。他にも魅力的な女性の家庭教師や、正体のよくわからない元革命家などの大人たちと知り合ってはやがて別れてゆく。子供同志の過剰な自意識が激突する、進化の途中の狂った動物のような時代の中で、主人公は無力さと絶望を知ることになるが、そこそこ怠惰に生きる術を学びながら、世界との折り合いをつけていく。その過程を1年分の日記の中で描いているのがこの作品だ。

 日記の最後を飾る12月31日のエピソードと、かつては世界と戦っていた主人公も、やがては上手い生き方を身につけたことを印象付けるラストはけっこう好きだ。戦後に育ち、人間として成熟することが意外と難しい世代の仲間へ宛てた手紙のような、爽やかな読後感が残る作品だった。島田雅彦と誕生年が同じである主人公は、たぶん昔の島田自身なのだろう。

 
526日 (tue)

 松本充代「DROP BY DROP」購入。ここ数年は原作付きの育児マンガの単行本が数冊発売されていた彼女だが、オリジナルとしては92年の「私に足りないもの」以来の単行本ということになる。連載誌の「ビーム」は時々しか読んでいなかったので、やっと通して読むことが出来た。

 つまらない話題ばかりする友人たちと合わなくなり始めた高校生の祥子は、援助交際をするルミ、人間関係に冷めた男・遠藤と知り合いになる。レイプされて精神が壊れた姉を持つルミは、世間体を優先する家族に反発して家を出いて、遠藤は母親に何度もフェラチオされた経験があり、ルミは肉体、遠藤は人間関係から離れようとしている。3人は微妙な関係の中で次第に距離を縮めていくが、やがてそれぞれが抱えた問題が噴出することになっていく。

 松本充代は、その初期において、自己の女性性への嫌悪や戸惑いを露骨なほどに表現してきた作家だ。それが「ダリア・ダリア」あたりから、一歩距離を置いた視点から対象を描くようになってきた。現在「ガロ」に掲載されている諸作では、よりクールでディープになった印象だ。

 この「DROP BY DROP」では、別に援助交際の解決法が提示されるわけではない。ひとつの死を通して、それぞれが自分の進む道を見つけていくことになるという、ささやかなラストだ。きれいにまとまり過ぎている気もするが、それ以上に、松本充代が冷めた視線と優しい視線の両方を持って描き上げてるのが感動的ですらあった。若い頃の自意識過剰さについて触れたあとがきは無愛想なまでに短いが、優しさの安売りをしないその姿勢も素晴らしい。全9話完結の中編というのは、彼女の作品で最も長いのではないかと思うが、構成力もかなりのものだと確認できたことも嬉しかった。

 o u t d e x更新、「OTHER」に鶴見済の公判についての雑惑、相互リンクに[in the BOX]「ぽよぽよレコード」を追加しました。

 
525日 (mon)

 ボアダムス「スーパー アー」、money mark「push the button」、伊波智恵子 meets 栗コーダーカルテット「おもろうた」、オムニバス盤「タヒチの夜」購入。

 ボアダムスは、太陽に祈りを捧げる古代人の音楽みたいだ。そんなもの聞いたことがないんだが、原初的な音楽衝動が作品にまで昇華・構築されている印象。一万年前の人間も、一万年後の人間も聴けてしまいそうな音楽で、音で聴くアニミズムかもしれない。

 黒っぽいサウンド要素を洒落たコーティングで詰め合わせたのがmoney mark。ファンキーだったり、正調ソウルだったり、ボサノヴァやらドラムンベースやら、目まぐるしいまでの展開が最後まで続く。ドラムの音色感覚がかなり気持ちいい。

 発売前から期待させた伊波智恵子のアルバムは、栗Qと普久原恒勇がそれぞれにアレンジした曲が違和感なく並ぶ。音楽的な引き出しが異常に多い栗Qのだけあって、基本的には沖縄なんだけど、どこか違う土地の音楽といった感じの不思議な雰囲気を生み出している。

 タヒチアン・テクノとでもいうべき曲から始まる「タヒチの夜」は、その名の通りタヒチ音楽の編集盤。聴き通すといやがおうにも南洋気分になって、何もやる気が起きなくなる恐ろしいアルバムだ。それにしてもエイベックスがこんな音楽のCDを出すなんて…と感心していたら、CDエクストラだという表示を見つけた。タヒチの映像でも見られるのかとパソコンにセットしたら、単なるエイベックスの宣伝。気を許してはいけないらしい。

 
524日 (sun)

 気が抜けたように一日だらりと過ごす。散歩がてら「雪色のカルテ」を探しに行ったものの、プレステやサターンのソフトを売っている店は街に多くても、そこではパソコン用ゲームは売っていないという、恐らくは世間の常識であろうことだけを学ぶことになった。挙げ句、雨に降られて帰宅する。

 なにを今さらと言われそうだが、エヴァのビデオ・LDが9月までに全部発売されると今日になって知った。新作シーンやカットの追加もあるので、全部が出揃うのは来年ぐらいかなぁ…と勝手に推測していたのだけれど、劇場版完結編までビデオ・LDになるとのこと。エヴァに関しては待たされることに慣れてるんで、なんかすごく早い展開の気もするが、考えてみれば完結編の公開は去年の夏なんだから、充分すぎるぐらいに待たされてるか。

 o u t d e xを更新、相互リンク以外のコーナーはかなり久しぶり。今月3日の夜は鈴木博文さんにインタヴューをしたんですが、実はその日の昼間には「SUPER COMIC CITY」というイベントに行っていたので、そのリポートを「EVENT」に追加しました。昼と夜とで行動のギャップが激し過ぎて、思わず「SUPER COMIC CITY」のことを日記に書くのを忘れていました。

 
523日 (sat)

 昨日に引き続き、濱田理恵さんインタヴューのテープ起こし。なんとか文字に起こし終わったので、全体を構成する作業に入る。文字数は8623字で、ロッキンオンの1万字インタヴューに迫る勢いだ。でも、たぶん字数を減らさないといけないだろうなぁ。それを含めても、思いの外早く作業は終わりそうだけど。

 構成作業中は、ずっとヤン富田の「MUSIC FOR LIVING SOUNDS」を流していた。環境音や風によって演奏されるハープ、日光や人体の電気信号を音楽信号に変換したものから、果ては人工知能を持ったサウンド・ロボットなんてものまで登場する。テープ、ターンテーブル、スティールドラム、コロンビア大学の巨大なコンピューターといった広義の楽器類のみならず、音を出さないものにまで、ヤン富田は音を感じているようだ。そうしたトラックと、DOOPEESのメンバーたちがヴォーカルをとる歌モノが混在していて、なんかシャッフル方式で洗脳されている気分になってくる。いつのまにか頭の奥にまで染み込んでくる感じだ。また、自然とか宇宙とかに目を向けた音楽ってのは、ニューエイジ思想の匂いがすることが多いけれど、この作品にはそんな押し付けがましさが全く無い点も特筆しておきたい。

 さらにCD-ROMもよくできていて、特にこれまでのヤン富田の活動をまとめたムーヴィーが嬉しかった。いとうせいこうとのライヴの映像もあるし、動くキャロライン・ノヴァックも初めて見た。オールCGによる未来志向のムーヴィーもあって、5000円で採算が取れるのか心配してしまうほどだ。

 ところで、このアルバムの「VINYL BEAT OF TWO TURNTABLES WITH CYBERNETICS & BIO-FEEDBACK」という曲の中で、ヤン富田がプロデュースした、いとうせいこうの「MESS/AGE」に収録されている「THEME OF ASTRO NATION」という曲の一部が流れていた。そんなわけで、この89年作品を久しぶりに引っ張り出して聴き返してみたのだが、暴動をテーマにした「WHAT'S GOING ON - WHAT'S GOING ?」という曲が、先のインドネシアでの暴動にピッタリだったので少し驚いた。

 
522日 (fri)

 帰宅してからは、ずっと濱田理恵さんインタヴューのテープ起こし。今回は自分でやるのだ。ムーンライダーズ公式本用に鈴木博文さんにインタヴューした時には、テープ起こしが他人任せだからといって、5時間もやってしまったのだが、自分でやってみるとテープ起こしの大変さがよくわかる。博文さんのテープ起こしを担当した方には恨まれても仕方ない気さえしてきた。ノッてくるとけっこう進むものではあるんだけど、僕なんて50分のテープで苦労してるからなぁ。

 今週の「カウボーイビバップ」、先週よりは冴えてる感じだった。スタイリッシュさもより一層強まってて、あと一歩で嫌みにすらなりそうなほど。一番引き付けられたのは、グルジアのポリフォニーみたいな冒頭の音楽かな…って、結局僕は菅野よう子の音楽が一番気になるのか。

 o u t d e x更新、「Ionisation」「Moon Light Cafe」「ウェブサイトKIYONAGA」を相互リンクに追加。今回もまた相互リンクのみで、他のコーナーも来週こそは…って先週も書いた気がする。ジャンル分けしてないままなので、一層見にくくなってしまいました。

 
521日 (thu)

 ヤン富田「MUSIC FOR LIVING SOUND」、砂原良徳「TAKE OFF AND LANDING」、森高千里「今年の夏はモア・ベター」、SEAN LENNON「into the sun」購入。これだけ買うと散財感もひとしおだ。しかもヤン富田のアルバムは、CD3枚+CD-ROM1枚の計4枚組でボックス仕様で、なんかえらいもんを買った気がしてくるほどの重量感。レコード屋のレジで僕の後ろに並んでいた人の手にもこの箱があって、こういうのが続けて売れる光景ってのも不思議な気分だった。

 そのヤン富田のアルバムは、1枚目の1曲目だけ聴いて降参。まいりました。明日から気合入れて聴きます。ストレンジサウンド&テクノの砂原良徳も、ヤンと方向性がちょっと似ているために引き出しの多さを比較してしまいそうになるが、これもかなり出来がいい。森高千里のアルバムは細野晴臣の前面プロデュースで、ここ数年の細野の仕事の中で一番いいかもしれない。はっぴいえんどの「風来坊」のカバーにしても、今でもこんな新鮮なアレンジができる細野の感覚に驚いた。森高って、キャラは面白いけどサウンドが安っぽいというイメージだったんだが、この作品ではどんな心配は当然無用。ローソンのCM共演からこんなアルバムが生まれるとは。SEAN LENNONは、最初思いのほか薄口っぽくて意外だったけれど、良く聴くとサウンドも練り込まれてるし、ソングライティングもしっかりしてるんで愛聴しそうだ。今日の買い物は、値段だけではなく満足度も高かった。

 
520日 (wed)

 6月2日に渋谷クアトロで行われる濱田理恵さんのライヴで、販売(あるいは配布?)されるパンフ(というかチラシ?)用のインタヴューを収録するため、Hさんと湾岸スタジオを訪問する。今回は僕ひとりでインタヴューを担当するので、かなり緊張。ここ最近の活動を中心に1時間ほどお話をうかがったのだが、濱田さんが非常に丁寧に説明して下さる方で、とても濃い内容のお話を記録できた。

 インタヴューが終わってから車で川崎の埠頭まで移動して、パンフ用にフォトセッション。もっとも、フォトセッションと言ってもズブの素人である僕とHさんが写真をパシャパシャ撮るわけで、出来上がりは不安この上ない。川崎市の施設である川崎マリエンとかいう所へも行き、展望台でもまた撮影。とにかく人がいない場所で、終了後に入った喫茶店には、なんかワケありそうな胡散臭い人種ばかりだった。

 しばらく談笑してから、濱田さんがムーンライダーズがリハーサルをしているスタジオに行く用事があるとのことなので、僕らも便乗させていただいてリハの様子を見学。6月6日に岐阜でやるライヴのリハだったのだが、地元の新聞社かなんかが主催で、なんと無料という太っ腹なイベントだそうなので、中部地方の方は是非どうぞ。

 その後、三軒茶屋で3人で飲み、あやうく朝まで付き合わされそうになる。「明日は仕事なんです」と必死に頭を下げたものの、同じく明日も仕事のHさんが飲み明かす決心をしてしまったので説得力が無い。なんとか帰らせてもらい、日付の変った頃に帰宅。濱田理恵さんはお世辞抜きで素敵な方でした。

 
519日 (tue)

 ちょっと気になったんで、「PURE GIRL」という雑誌を購入してみる。タイトルには「美少女マガジン」とあるけれど、要はエロゲー雑誌。僕はエロゲーどころかゲーム自体をほとんどやったことがなくて、唯一したゲームが「鋼鉄のガールフレンド」だけという始末なんだけれど、SUBMENTAL EXPLOSIONの文章に影響されて興味が出てきた。なんか独特の文化がありそうなんで。プレステとかサターンとか言う以前に、ファミコンすらやったことがないという、ゲーム文化圏からほど遠いところで生きてきた僕には、この雑誌はなかなかのカルチャーショックだ。内容はゲームのレヴュー中心なのだが、エロゲー画像満載でこっちがビビってしまう。コラムなんかも業が深そうで、自分の知らない世界が広がってるんだと妙に納得。そんなわけで、今その筋に評判の「ホワイトアルバム」でもやってみるかという気になったんだが、どこで売ってるのかもわからなかったりするから困った話だ。

 ところで「MUSIC MAGAZINE」6月号がフュージョン特集を組んでいたのには驚いたけれど、菅野よう子のインタヴューが載っててさらにビックリ。アニメにまで目配せしてるとは。実に6ページもの記事なんで、好事家の皆さんはどうぞ。

 
518日 (mon)

 この日記のカウンタも、とうとう3万を越えてしまいました。当初はハイポジ-BODY meets SING-の1コーナーとして始まったこの日記が、独立してこれほど多くの方に読んでいただけることになるとは予想もしていなかったので、なんか不思議な気分というのが正直なところです。振り返ってみれば、かれこれ約500日もの間、毎日のように文章を書き続けていたわけで、相当妙な生活のような気もします。でもまぁ、毎日文章を書いていい修行になったというのが実感です。この程度のヨタ話なら、意外とネタ切れしないものみたいですし、たまにはこうして日記を書くこと自体をネタにするぐらいに神経も太くなりましたし。

 インターネット上で日記を公表するというのは、大なり小なり自己顕示欲が関わってくるので、日記をつけることへの後ろめたさとか恥ずかしさみたいなものが、僕にはずっとありました。一時期はそんな自意識のコントロールが最大の課題だったんですが、長く続けてきたおかげで、自分の中にあったドロッとした表現衝動も一通り出尽くした気がします。出尽くしてるといいんですが。

 初期とは文体もかなり変化したとか、プライヴェートなことは公表しなくなってきましたと友人たちからも指摘されます。僕の中でも日記というより、日記の皮をかぶったコラムもどきといった性質のものに変化してきました。自分でも気付かない間に少しづつこの日記も変質しているようで、後で読み返した時に、そういう自分の変化の記録になっていたら面白いと思います。でも自分の日記なんて気恥ずかしくて読み返せないんですが。

 最近はページを作りすぎた挙げ句にどれも更新停滞気味という自滅状態ですが、せめてこの日記だけは更新し続けたいと思います。「こんなマネいつまで続くんだろ?」なんて疑問が時々頭をよぎったりもしますが、これからも気合いを入れすぎず抜きすぎず書いていきますんで、これからも日々の慰めにでも読んで下さい。この日記を読んでくださる皆さん、そしてこの日記を通して僕の友達になってくれた酔狂な皆さんに深く感謝して、明日からはまたサブカル&オタク系ヨタ話に戻るという寸法です。

 
517日 (sun)

 島田雅彦「君が壊れてしまう前に」、鶴田謙二「Spirit of Wonder」、「パイク」vol.10購入。最近は小説をあまり読んでなかったけれど、島田雅彦のこの作品は、「14歳もの」という点に興味を引かれて買ってみた。「パイク」はTAGRO目当てで、この人がしばしば生み出す狂ったアイデアは見逃せないモノがある。少女マンガが夢うつつのまま脱線してエロマンガになってしまったような、あめかすりの作風も独特で面白い。

 で、先月出た写真集「No Make」に続いて、シングルとビデオが発売されたのが広末涼子。冷めたといっても一応アイテムを押さえてしまうのは、我ながら悲しい性だ。シングル「summer sunset」を聞いて印象的なのは、彼女の発声が格段に良くなっていること。けっこう歌うのに疲れそうな曲だが、しっかり歌い切っていて感心してしまった。「summer sunset」とカップリング曲「NNNN〜キッス!」はともに広瀬香美の作詞作曲だが、楽曲に関しては特に記すべきことはない。

 ビデオ「Making of R.H.」は、94年から今年までの実に5年分の映像をまとめたもの。写真集の撮影の模様を中心に、歌・CM・映画と一通り押さえた作りだ。14歳の頃の広末の映像もあるのだが、これに比べると現在の彼女って完全に芸能人の顔で驚かされる。他の映像も、ちょっと角度が変るだけイメージが違ってくる彼女の顔の造型の特殊性を再確認できる。確認してる俺もダメ度が高い。

 
516日 (sat)

 おおひなたごう「おやつ」第1巻、楠本まき「致死量ドーリス」購入。おおひなたごうの単行本は「少年チャンピオン」の連載をまとめたもので、読む前は子供向けに甘口になってるんじゃないかと懸念したものの、より悪ノリしてて大笑いさせられた。ほのぼの少年マンガの化けの皮をかぶってはいるものの、脱臼したかのようなギャグの連続で、しかも毒が多いときている。でも、最初の方に多いマンガの文法を逆手に取ったようなギャグなんて、ガキどもは直感的に理解できるんだろうか。分かるんだったらなんか凄い気がする。

 楠本まきはまさにスタイリッシュ&クールって感じ。全ページ2色カラーで、各話ごとに色使いが変る凝った作りだ。体を傷つけることだけでしか自分の存在を確かめられない女の子の、悲劇的な結末にいたる恋の物語。ストーリだけみれば少々食い足りない気がするが、コマと吹き出しとモノローグが複雑に絡み合って生み出す緊迫感は、強迫観念を表現するのに成功している。ほとんどモノローグの最終話はちょっとやり過ぎのような気がするけれど。

 
515日 (fri)

 昨日に続いてサンライズのアニメを見る。毎週金曜放送の「カウボーイビバップ」はオタク筋に評価が高いようで、先月飲みの席で一緒になったアニメ雑誌の編集の方も熱っぽく誉めていた。ヤバい部分があって放送できない部分があるという話で、今日見たら放送は6回目なのに作品としての通し番号は「Session 11」。噂通りだ。未放送分はビデオで発売されるらしい。

 宇宙を舞台にした賞金稼ぎモノのようで、今回は宇宙船の中に謎の生物が現われてさぁ大変という話。演出もスタイリッシュだし、それなりに楽しめたんだけど、個人的にはいまひとつグッと来なかった。周囲の評判が高かったので期待しすぎたのかもしれないし、たまたま今週は趣味に合わなかったのかもしれないので、これも次回を見てみないと判断できないなぁ。でも菅野よう子による、ブラスが冴えるオープニング・テーマは評判通りのカッコ良さだった。

 
514日 (thu)

 最近オタク仲間たちに話題の「センチメンタルジャーニー」というアニメを見る。ウテナが終わってから全くアニメを見ていなかったんだが、考えてみれば今年に入ってから一本も新番組を見ていないということだ。そりゃまずいかと、水曜の夜中にやってるこの番組をビデオ予約してみた。

 どうやら12人の美少女が12の都市でいろいろするという話らしく(大雑把でスイマセン)、この回の舞台は京都。好きな相手への煩悩に悩む少女が、知り合いの和尚に相談に行くというストーリーだ。本当にこんな話なんですってば。しかも内容は、実存と愛についての禅問答が延々続くという、我が目を疑うシロモノ。問答の間は京都の名所の風景が次々とインサートされていて、観光情報とセルの節約で一石二鳥になっている。気の利いた演出も所々にあるものの、全体としてちょっとタルいのは否めないが、サンライズはこんなの作ってたのか…と、こんな内容のアニメが制作・放送されていること自体が興味深かった。こりゃ来週も観てしまいかも。

 「センチメンタルジャーニー」の30分前からやってる「トライガン」というアニメも、新聞に載っていたGコードが一緒だったんで録画されていた。オープニングの曲がインストってのも珍しいなぁと思っていたら、音楽担当はなんと元ティポグラフィカの今堀恒男。しかもエンディングの曲は、元マルコシアス・ヴァンプの秋間経夫ときている。深夜アニメってのも業が深そうな世界だ。

 
513日 (wed)

 近田春夫「考えるヒット」読了。「週刊文春」に連載されている歌謡曲評をまとめたもので、この単行本で取り上げられているのは実に97曲。本の3分の1弱は、島森路子やナンシー関との対談にあてられている。

 音楽的完成度に今一つ満足してなくても、歌謡曲の不完全さを逆に楽しむという斜に構えた聴き方は僕も少なからずしている。ところが近田春夫の聴き方はそうではなくて、驚くほど真摯な聴き方だ。巻末の登場アーティストの索引を見ると、安室奈美恵・小沢健二・奥田民夫・SMAP・B'zあたりが多く取り上げられている。小沢健二の歌は下手ではないという意見はまだいいにしても、B'zを正面きって評価するというのはかなり勇気が要りそうだが、近田は本気で誉める。歌詞は読むものではないから一見稚拙なものでもいいと述べ、パクリも方法論の一つとして認め、楽曲が歌い手の存在をどれだけ表現できているかで評価しているようだ。

 中でもずば抜けて多く取り上げられているのが小室哲哉。彼に関しては、近田はもう絶賛と言ってもいい扱いだ。絶え間なく生み出される小室楽曲は連載マンガのようなものだ、彼の感覚はヤンキーそのものだ…などなどの分析を加え、幸福感が希薄な歌詞に若者が抱える不安を読み取る。漠然とした不安なんてものは言い古された感もあるが、大量に消費されるヒット曲を元にした分析だと妙に説得力があるのも事実。とにかく近田春夫の本気度が高い1冊だ。

 余談だが、TWO-MIXの曲は高山みなみが書いてるとか、The虎舞竜の「ロード〜第5章」はオリコン100以内にランキングしていないとかの事実もこの本で知ることが出来た。だからどうだというわけではないんだけど。

 
512日 (tue)

 ねこぢるが10日に亡くなっていたそうだ。最初この話をネット上で知った時はガセじゃないかと疑ったんだが、ほどなくガロの掲示板で本当のことだと知ることになってしまった。山野一と結婚していたこと以外、顔も含めてほとんどプライベートを公表していなかった人で、彼女の年齢もこの日初めて知った。

 僕は特にねこぢるの熱心なファンというわけでもなかったが、ここ数年は彼女の活動の場が広がったこともあって、ガロその他でかなりの作品を読んできたと思う。あの可愛いネコの絵柄と、弱者を叩きのめすような残酷な内容のギャップに最初はかなり驚いた。子供のような情け容赦のなさを持ち合わせた彼女の作品は後味が悪いものが多くて、人間の持つ悪意なき残酷さを描いた作風には妙な中毒性があった。

 でもその作風が死と直結するかというとまた別問題だ。かつて山田花子が自殺した時には、「とうとう死んでしまったのか」という想いと「まさか本当に死ぬとは思わなかった」という想いの両方があって、複雑な気分にさせられたが、ねこぢるの場合はただ意外に感じた。少し時間が経ったら、また違う感じ方をしているかもしれないけれど。

 「BUBUKA」6月号に掲載されていた「ねこぢる汁」の、バリ島でマジック・マッシュルームを食べてトリップした体験記が、彼女の生存中に僕が読んだ最後の作品になってしまった。

 
511日 (mon)

 SONIC YOUTH「a thousand leaves」、pizzicato five「happy end of you」、MALOUMA「DESERT OF EDEN」購入。近田春夫の「考えるヒット」もやっと見つけたので買う。

 ピチカートは、「Happy End of the World」のリミックス12インチの音源を集めた米盤。毒々しくらいにポップなジャケットがディスプレイされてると思ったらこれだった。808 STATE、DIMITRI FROM PARIS、SAINT ETIENNE、MOMUSなんかがリミキサーで参加していて、OVALやSEAN O'HAGANといった音響系にも目配りした人選はさすが小西康陽って感じだ。音の方も好き勝手にやってる無法状態で面白い。

 MALOUMAはアフリカのモーリタニアの女性歌手。モーリタニアはセネガルの北にある国なのだが、地図帳を見てもらった方が早いか。伝統音楽を現代化したものだが、独特のコブシ回しの魅力が伝わる丁寧な作りだ。モーリタニアの音楽は現地録音の民族音楽しか聴いたことがなかったので、これは新鮮。

 そしてSONIC YOUTH。僕は彼らを聴くのはこれでやっと4枚目という不勉強なリスナーなのだが、これにはマイった。冒頭からしてESPのフリージャズみたいだ。タイトでラウドなのに、同時に不安定さと歪みがが混沌としていて、うまく言語化できないけれど、そんなこと忘れて聴いてしまいたいほど、ひとつひとつの音が気持ちいい。74分は長すぎだろうと最初は思ったけれど、一気に聴き通してしまった。

 
510日 (sun)

 Aちゃんから電話が掛かってきて目を覚ます。コミティア読書会の会場からで、Uさんも一緒とのこと。もう会場なのか、早いなぁ…と思ったものの、時計を見るともう正午前だ。「今日はどうするの?」と聞かれたものの、どうにも遊びに行ける状況ではないので、「無理〜」と眠気一杯の気の抜けた声で伝える。今日は、まだ行ったことのないコミックレヴォリューション(通称コミレヴォ)というイベントもあるので見ておきたかったのだが、潔く諦めることにした。

 夕方、コミレヴォ会場から帰還したEさんに話を聞いたところ、コミケが楽に思えるほどの混雑ぶりだったらしい。女の子が多いコミックシティーとは対照的に、男の熱気でムンムンという状況だったそうで、行かなくて正解だったと言われた。その会場のエヴァ系ブロックでは、1人ぽつんとミサト本を売っているIさんを見つけたそうで、けっこう売れていると本人が語っていたとのこと。サークルのスペースもかなり狭くて窮屈そうだったらしいが、利益を上げるためにはリスクも甘んじて受け入なければならないんなんだなぁと勝手に解釈して納得する。近所の商店街をふらついた以外は外出もせず、僕の日曜は終わってしまったが、原稿はひとまず完成。あとは早く推敲しなければ…。

 
59日 (sat)

 この土日でムーンライダーズ公式本の原稿を書き上げるべく、パソコンのキーボードを1日叩き続ける。途中、資料にしようと、押し入れの中に突っ込んでいた昔の音楽雑誌を引っ張り出す作業をしたのだが、ドリーミーなぐらいにホコリが舞い上がって、防塵マスクでも用意すればよかったと思わされた。でも毎日この部屋で暮らしてるんだから、いまさら無意味か。しかも床の上には書籍やマンガが平均50センチの高さで積んであるので、押し入れまで接近するのも一苦労。次の休みには、思い切ってたくさんの本を古本屋に売り飛ばしたいもんだ。

 その作業も終わったところで、気分転換のために近所を散歩。本屋で「宮崎駿と庵野秀明」という分かりやすいタイトルの本を見つけたが、2人の対談は9ページほどなので立ち読みで済ます。宮崎駿も結局エヴァを観たようだとか、庵野秀明は将来特撮をやる気なのかとか、そんな情報を得てとっとと帰宅。Tシャツで出歩くには、まだ少々肌寒かった。

 
58日 (fri)

 近田春夫の「考えるヒット」を買いに本屋へ行ったものの見つからず、かわりに華倫変の「カリクラ2」が出ていたので購入。この前に出た短編集「カリクラ」の妙に毒々しい装丁も意味不明だったが、今回はさらに奇天烈。実物は本屋で見てもらうしかないが、なんかベックやボアダムスのアートワークに近いノリを感じてしまった。

 中身の方はといえば、江戸時代の遊女を主人公にした「桶の女」が異色で驚かされた。まさか華倫変が時代劇をやるなんて予想したいなかったので、つくづく油断のならない男だと思う。命の虚しさと死を見据えたこの作品はかなり出来だ。これが冒頭にあったので、以降の作品にも期待したのだが、いかんせん中途半端なものも多かったりする。どの作品にも異常なほどアクの強いキャラが出てくるのでそれなりには楽しめるのだが。その中では、ホモ少年とアメリカからの留学生(やはりホモ)の交流を描いた「バナナとアヒル」のねじれ具合が好きだ。この作品の、ヤケクソのようなアヒルの絵は衝撃的でさえある。最後の「援助交際」では妙に虫が飛んでいると思ったら、逆柱いみりの影響だという。意外といろいろ読んでるようだ。

 o u t d e x更新、「F-OW」「樫の会」SUBMENTAL EXPLOSIONsatomieyの4サイトを相互リンクに追加しました。相互リンク先も50近くになって見にくくなってきたので、そのうちジャンル別に整理する予定です。最近は忙しくて相互リンク以外のコーナーの更新が滞っていますが、来週からは頑張ろうと思うので、今しばしお待ちを。

 
57日 (thu)

 青山円形劇場でのさねよしいさ子ライヴへGさんと行く。「円形音楽会'98」と題された4日間連続のライヴの初日で、今日は栗コーダーカルテットとの共演だった。

 去年の円形音楽会でも感じたことだが、この会場だと彼女はとにかく歌い踊る。歌と踊りが不可分のひとつの表現になっている感じで、表現者としての彼女の圧倒的な力を目の当たりにできるのがこの円形音楽会の魅力だ。

 一見穏健そうでいながら、実はラディカルなまでに多彩なサウンドを生む栗Qは、今回も素晴らしいバッキングを聴かせてくれた。鳩野信二のキーボードの音色がやや浮いていたのは残念だったが、厚すぎず薄すぎず、かつ優しい音が心地よかった。

 休憩時間には、ムーンライダーズ関係でお世話になっているFさんとSさんに思いがけず会う。また、キリンが新発売のアルコール飲料を振る舞っていて、試飲したらあっさり酔いが回ってしまった。で、新婚のTさん&Rさんご夫妻に「結婚指輪なんてしちゃって〜」とか言って冷やかす。

 第2部では栗Qがまず数曲を演奏して、ふたたびさねよしと共演。アンコールでは、それまでの緊張が一気にとけたらしく、MCでの彼女の壊れっぷりが素晴らしくて大笑いした。最後は「天使のほほえみ」が聴けて大満足。

 
56日 (wed)

 ゴールデンウィーク明けの僕を待っていたのは極度の疲労感だった。考えてみれば、昨日も一昨日も忙しくて1日1食という状態だったし、睡眠時間も満足に確保できない有り様だった。そんなわけで会社では死に体で過ごすことに。

 今日東京高裁で開かれた鶴見済の判決公判では、懲役1年6ヶ月・執行猶予3年という判決が出たそうだ。覚醒剤の売人に自分から電話したりもしていたそうだが、それでも執行猶予がつくものなのかと、法に疎い僕としては少々驚いた。もちろん彼には、社会に悪態をつくような文章を娑婆で書き散らして欲しいんだけど。

 「ガロ」6月号購入、今月号の個人的大ヒットは太宰べべの「ゆれる空」。ろくに子供の面倒も見ない母親の代わりに父親の違う妹の面倒を見て、毎日学校に遅刻する女の子の物語で、深刻な状況のはずなのにあまり悩んでいない主人公の姿を、淡い感じの絵で描いている。こんなに味わい深い表現を、正味7ページでしてしまうんだからすごいもんだ。

 
55日 (tue)

 目を覚ましたら、起床予定時刻を1時間半も過ぎているという大寝坊。慌てて身支度をして出掛けた先は東京流通センター、今日は待ちに待ったはずのコミティアだってのに。

 会場にはすでにUさん・Jさん・Nさんが到着していて、僕も到着すると同時にコピー誌を作らされる。しかも1冊1冊に帯を巻くという素晴らしく凝った造本で、作業をしているうちにあっという間に開場時間になってしまった。

 まずは知り合いのサークルに挨拶回りに出掛ける。Hさん編集によるマンガとレヴューの雑誌「PARKING」は素晴らしい完成度で、参加させてもらった僕も嬉しい限り。また、僕が解説を寄稿した「人工甘味料」のKさんとは、最近2人とも好きなことが判明したマンガ家・松本充代の話で盛り上がる。メールのやり取りをしているYさんにもご挨拶して、スペースに戻る頃にはKさんがはるばる佐賀から到着していた。

 午後には、Eさん・A → Z My favorite Media indeXのGさん・Oさんなどいつも来てくれるメンツに加えて、SUBMENTAL EXPLOSIONのLさん・月下工房#書評系のSさんなどの方々も遊びに来て下さった。また、「PARKING」にも参加された漫画に関するページ「OHP」のSさん・Hさんご兄弟や、「ガロ」編集部のSさんにも会う。本当に濃い人達が集結って感じで、コミティアってのはサブカル&オタク系人種必見のイベントかもしれないって気さえしてきた。いや、ホントに。

 今回は面白そうな本が多くて、最終的には20冊ほど買い込んだが、いつ読めるのやら。終了後には信濃町まで移動して、8人で打ち上げ。佐賀・静岡などからの遠征組が半分を占めていたが、「にゃんまげ」などのヨタ話を時間の許す限りして楽しんだ。

 
54日 (mon)

 インタビューが終わった後も博文さんとHさんとの3人でもろもろの話をして、とりあえず眠ることにしたのは午前6時前だった。自分が湾岸スタジオに泊まる日が来るなんて考えたこともなくて、こりゃ眠れないかもと思ったものの、疲れのせいであっさり眠りに落ちた。

 Hさんが仕事に出るために午前9時には再び起きて、僕も一緒に湾岸スタジオを後にする。明るくなった街を歩いていると、セガのビルがすぐ近所にあって、THE SUZUKIの「ROMEO,JULIET AND FRANKENSTEIN」の歌詞そのままだった。

 服とかシェーバーとかの買い物をしてから帰宅。11時に寝て2時に起き、昼食をとろうとしたけれど食欲が湧かなくて、結局ちゃんとした食事は夜の1回だけ。今日は昨日からの切れ目がない感じで、1日中どこかぼんやりしたままだった。

 
53日 (sun)

 「小心者の杖日記」というこの日記のタイトルは、鈴木博文さんの92年作「処方箋」に収録されている「小心者の杖」という曲に由来している。単純に好きな曲から引用したのだが、もしもご本人と直接話す日が来るとわかっていたのなら、気恥ずかしくてこのタイトルにはしなかっただろう。そして僕は今、とても気恥ずかしい。

 ムーンライダーズ公式本用のインタビューのために、鈴木博文さんのご自宅にある湾岸スタジオを訪問する。僕と一緒にインタビューするHさんは博文さんとも親しくて、何度となく湾岸スタジオを訪れている方だ。約束の時間の夜9時にやや遅れて、住宅と工場とが混在する場所にある湾岸スタジオに到着した。

 昨夜までに、彼が87年以降に参加したCD全てを聴き返し、資料を一通りまとめてはみたのだが、もしも無口な人で会話が続かなかったらどうしよう…などとネガティヴ思考が全開になってしまい、正直気が重かった。インタビューなんてアドリブ芸を自分が出来るかも不安だったし、そもそも博文さんの大ファンであるだけに何を言ったらいいか分からなくなりそうだったというのも大きい。

 しかし湾岸スタジオの室内に入った瞬間、そんな不安も忘れてしまった。壁にかけられたたくさんのケーブル、大小のスピーカー、煙草のヤニで背中が黄色くなったLPやCDが並ぶ棚…。機材の配置は違っていても、博文さんの著書「僕は走って灰になる」に載っていた写真と同じスタジオだ。ここで録音されたアルバムを今までに数十枚も聴いてきたのかと思うと、放心してしまいそうにすらなった。

 博文さんに入れていただいたコーヒーを飲みながら、9時半をまわった頃からインタビューを始める。僕の心配はまったくの杞憂で、博文さんは想像していた以上に温和で気さくな方だった。僕が言葉に詰まるとHさんが助け船を出してくれたおかげもあり、突っ込みの甘い部分も多々あるのだろうが、87年のソロアルバム「Wan-gan King」から始まって、7月発売のムーンライダーズの新作まで、実に12年分の活動についてお話を無事に聞くことが出来た。

 150分テープの2本目があと少しで終わるところでインタビューは終了。時刻はもう午前4時になろうとしていた。

 
52日 (sat)

 ムーンライダーズのベスト盤「ANTHOLOGY 1976-1996」の発売を記念したインストアライヴのため新宿ヴァージンメガストアへ。スタートの少し前に会場に着くと、けっこうな人だかりが出来ていた。こんなにお客さんの平均年齢が高い(推定31歳)インストアイベントも珍しい気がして、少々驚く。

 出演したのはかしぶち哲郎と鈴木博文で、普段はドラム&ベースのリズム隊である2人がギターを抱えて歌うという珍しい企画だった。まず鈴木博文が4曲歌い、続いて登場したかしぶち哲郎と1曲共演、そして3曲をかしぶちが1人で歌う。ベスト盤発売記念のイベントということもあってか古めの曲が中心で、個人的には「駅は今、朝の中」が聴けたのが嬉しかった。

 終了後打ち上げに参加させていただいて2次会まで行ったが、遅くなりすぎないように帰ることにして、帰宅後また資料整理。

 
51日 (fri)

 もう5月かよとカレンダーを見ていたところ、今月7日に青山円形劇場で開催されるさねよしいさ子&栗コーダーカルテットのライヴのチケットが送られて来ていないことに気がついた。多少発送が遅れたとしても、1週間を切っても送ってこないということはないだろう。円形劇場でのさねよしライヴを去年も聴きに行ったのでDMが送られてきて、それで優先先行予約をしたのだが、その入金も3月の後半には完了したはず。パソコンがでかい顔をして鎮座しているために机として機能していない机の片隅に積まれた郵便物の山を探してもないし、本格的に嫌な予感に包まれながら、青山円形劇場の予約センターに電話することになった。

 とりあえず事情を話したところ、チケットの発送は3月の末に完了しているはずだという。予感的中。4000円のチケット×2枚が闇の中に消え去ってしまったようで脱力したが、郵便事故扱いということで、当日受け付けで言えばOKということになった。他の所ではこう対処してはくれないかもと感謝。

 以前にも、友人に送った郵便が届かなかったことがあって、郵便局に文句を言いに行ったところ、それ専用の書類を渡された。記入して調査を申し込んだら、相手方にも確認の電話がかかったりして、割と真面目に調査されたようだったが、結局行方知れずということで、郵便関係の偉いさんの名義でお詫びの手紙が届いた。それはそれで諦めもついたのだが、問題は後から友人が「本に挟まってました〜」と電話してきたこと。今回の僕の場合も同様の事態である可能性が否定しきれないので、ライヴを見られればそれで良しとした。郵便事故の可能性がある場合に強く出れるよう、部屋は整理整頓したいものですね。

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日記猿人
 


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