今日は、宮入恭平+佐藤生実「ライヴシーンよ、どこへいく」、連合赤軍の全体像を残す会編「証言 連合赤軍(8) 棺を覆いて」を読んでいました。「永田洋子を送る会」特集の後者は、皓星社と指定して書店で注文可能です。

綿矢りさの新著「かわいそうだね?」の特設サイトに「綿矢りさ×広末涼子対談」が掲載され、僕は夢の顔合わせに激しく痙攣しました。
ところで「かわいそうだね?」は、前作「勝手にふるえてろ」同様にiPhoneアプリ化(メッセージ動画付き)を待ち望んでいるのですが、まだでしょうか……。
2冊献本していただいたのでご紹介したいと思います。
まず1冊は、安藤健二「パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)」(→amazon.co.jp)。「封印作品」シリーズで知られる安藤さんが、取材に1年半をかけたという新著。「安易なパチンコ業界批判本の累計的な批判に落ちることなく、日常に普遍的にある大衆娯楽への素朴な疑問に応えるべく、公平な視点を読者に提示するよう心がけました」というのが安藤さんというジャーナリストらしいです。
もう1冊は、岡島紳士+岡田康宏「グループアイドル進化論『アイドル戦国時代』がやってきた!」(→amazon.co.jp)。僕は「アイドル戦国時代」というタームに懐疑的なスタンスですが、現場系の業を感じる書籍なので読むのが楽しみです。
なお、この書籍と「NICE IDOL (FAN) MUST PURE!!! vol.2」(→amazon.co.jp)の発売を記念してイベント「アイドルミュージックスクール2」が2月12日に新宿EXITで開催されるとのことです。
「asahi.com(朝日新聞社):流出『公安テロ情報』出版 第三書館、実名や顔写真掲載 - 社会」との記事が。元日本赤軍の北川明の第三書館だけに「やりやがった!」という印象が強いです。
ただ、この資料は岡崎トミ子の国家公安委員会委員長就任に反発して内部からリークされたものだという説があるだけに、それを出版したら公安内部の思惑にまんまと乗せられている形になっているのではないでしょうか。
赤軍といえば、最近は連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)を読んでいます。新聞記事、雑誌記事、手記などをもとに構成されていて資料性が高いです。
「綿矢りさ3年ぶり新刊『勝手にふるえてろ』 一人称で描くOLの“恋愛” (1/3ページ) - MSN産経ニュース」を例によって本文を無視して写真だけ見ることにすると、どれもこれもひどい写りで、写真が悪いのか化粧が悪いのか小首をかしげてしまいました。
「楽天ブックス: 著者インタビュー - 綿矢りさ」にあえて本文に一切目を通さず、写真にだけ言及するなら、2枚とも同じような角度で撮ることの意義を見い出せません。いっそ真横から撮ってほしいです。
MUSIC MAGAZINE増刊「クロス・レヴュー 1981-1989」(→amazon.co.jp)購入。僕が「MUSIC MAGAZINE」を読み始めたのは1989年(たぶん2月号)なので、この増刊は嬉しいです。
綿矢りさ「勝手にふるえてろ」(→amazon.co.jp)のiPhoneアプリ版(→iTunes Store)の配信が始まっていたので購入。
最大の目玉は、綿矢りさの動画メッセージ(約90秒)です。他に、綿矢りさへのインタビューもテキストで収録されています。
「勝手にふるえてろ」は書籍で読もうと思っていたのですが、試しにiPhoneアプリ版で読んでみました。最初は一画面あたりの情報量の少なさに驚きましたが、なかなか読みやすく、右手の親指でページをめくりながら11%(数値化されるのです)ほど一気に読んでしまいました。
起動画面からして、システム自体は電子書籍ソリューションを提供しているモリサワによるもののようです。
待望の綿矢りさの新刊「勝手にふるえてろ」(→amazon.co.jp)が8月28日に発売決定。河出書房新社以外から発売される彼女の初の単行本です。「文學界」2008年8月号に掲載された「しょうがの味は熱い」も収録されるのでしょうか?
島本理生「あられもない祈り」(→amazon.co.jp)、福満しげゆき「生活」特装完全版(→amazon.co.jp
)、久米田康治「さよなら絶望先生」第二一集(→amazon.co.jp
)、高浜寛「トゥー・エスプレッソ」(→amazon.co.jp
)購入。
福満しげゆき「生活」特装完全版は妻フィギュア付き……!
「AKB48 FASHION BOOK わがままガールフレンド〜おしゃれプリンセスを探せ!」(→amazon.co.jp)購入。
話題はAKB48の下着姿で、PEACH JOHNが多くの部分で協力している点に野口美佳社長の姿を思い浮かべてしまいます。
それはさておき、 「AKB48 FASHION BOOK わがままガールフレンド〜おしゃれプリンセスを探せ!」を見ていた妻がゲラゲラ笑いだしたので何事かと思ったら、最後のページに中森明夫による「AKB48は21世紀のオリーブ少女だ!」という文章が掲載されていました。なんでしょうかこれは……? 平然と森ガールの存在を無視している点も重要。
勝間和代といい、テン年代はまだまだ20世紀を背負って生きる人々の存在感が強いです。
島本理生 Official Websiteが開設されたことをサイトウさんのTwitterで知りました。「文藝」で「インターネットが昔からすごく怖くて」と語っていた彼女が遂に!
そんなわけで、島本理生「真綿荘の住人たち」(→amazon.co.jp)を購入。
関和亮撮影「Perfume Livefolio」(→amazon.co.jp)購入。
Perfumeの「Perfume Second Tour 2009『直角二等辺三角形TOUR』」でのライヴを関和亮が撮影した写真集です。しかし、印象的だったのはライヴの写真よりもメンバー個別のオフショットでした。あ〜ちゃんが何でもない原っぱで笑っているだけで泣きたくなるこの感情をどこへ持っていけばよいのでしょう。かしゆかはフォトジェニックなので、関和亮が完全にデザイン視点で撮ってるように感じられます。
そして、どこかの街の遠景の写真から別の写真集になったかのように雰囲気が変わり、のっちへ。のっちがのっちである特異性、不可侵性、そして輝きが活写されています。
関和亮にはいつかごく個人的な視点から私小説的にPerfumeを撮ってほしいです。
なお、巻末のスタッフ座談会は内輪のネタばらしのようなものなので、Perfumeの3人の座談会のほうが嬉しかったのですが。
宮台真司、辻泉、 岡井崇之「『男らしさ』の快楽 ポピュラー文化からみたその実態」(→amazon.co.jp)をいただきました。
ファッション、格闘技、ラグビー、ホストクラブ、性風俗、オーディオマニア、鉄道ファン、ロック音楽などの事例を取り上げ、楽しさの実態を内在的かつ詳細に記述しながら、「男らしさ」をとらえ直す。従来、家庭や労働における性別役割分業論を中心に否定しつくされてきた「男らしさ」に、肯定面をも含み込んだ現実的な方途を探る。
神薫「女医裏物語 かけ出し女医のトホホ体験記」(→amazon.co.jp)は、いただいたもののご紹介が遅れまくって申し訳ない本。
患者のみなさんゴメンなさい!
いま明かされる医学部と研修医の日々、笑撃の秘話。
萌える!病院エンターテイメント
僕は彼女が女医だった時代から知っているので、こうしてまとまると感慨深いものがあります。
渋谷のEL SUR RECORDSへ行ったところ、以前国境の南でのワールド・ミュージックのパーティーで知り合った写真家の板垣真理子さんがいらっしゃいました。昨年の個展「アフリカン・ビューティ」に行けなかったことを謝ったところ、「まだ本は出てますから」ということで、板垣真理子さんの写真集「アフリカン・ビューティ」(→amazon.co.jp)をここでご紹介する次第です。
安藤健二「封印作品の憂鬱」(→amazon.co.jp)は、日本テレビ版「ドラえもん」、「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」、みずのまこと版「涼宮ハルヒの憂鬱」という3作品の封印の謎を追ったドキュメンタリー。その謎を追いかける安藤健二の姿勢には、自分にしかできない仕事を追い求める彼のアイデンティティへの渇望があり、だからこそこの本は安藤健二にしか書けない執念を感じさせる内容になっています。
日本テレビ版「ドラえもん」では、いきなり田中角栄の話題が出てきて驚きますが、これが決して本筋と無縁ではないのは「事実は小説より奇なり」というべき部分です。「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」では、日本の円谷プロダクションとタイのソンポートが真偽を争う「76年契約書」のコピーが登場した瞬間にドキッとします。そして、その後にじわじわと当時の人間関係の生臭さが浮き彫りになっていくのです。
みずのまこと版「涼宮ハルヒの憂鬱」については、角川のメディアミックスの手法や、社内抗争の爪痕など、思わぬ方向にまで話が飛びますが、それが封印の経緯を結果的に明確なものにしています。そして、最後に予言のように記された再アニメ化に関する記述。ファンなら呼んで損はないでしょう。「BUBKA」初出時の結論が消えているのには一安心しました。
安藤健二の「封印作品」シリーズは、ライターやジャーナリストの仕事をした人間にしか理解できないレベルでハードな取材をしていて、それが業界内での彼の評価を高めています。序文に活躍できるメディアの少なさを嘆いている部分がありますが、この一冊が彼の活躍の場を広げることを祈りたいです。
なんだか最近Tumblrに大量に9nineの川島海荷の画像が流れてくるのですっかり洗脳され、小池伸一郎撮影「川島海荷写真集 NU」(→amazon.co.jp)、 熊谷貫撮影「川島海荷写真集 青のコリドー」(→amazon.co.jp
)購入。「青のコリドー」のほうがおすすめで、現在の川島海荷にはかつての成海璃子のような輝きがあります。
関和亮撮影「Perfume Portfolio」(→amazon.co.jp)購入。初めての写真集が、これまでPerfumeのビデオクリップや写真を担当してきた関和亮の撮影である点が何よりも嬉しいです。
アスマートの特典カバーは全面カバーではなく、タイトル下が別の写真になる仕様のものでした。
磯光雄「電脳コイル企画書」(→amazon.co.jp)購入。磯光雄による当初の絵柄は、実際の放送のものよりもかなりリアルなタッチだったことがわかります。電脳ペットたちの造形もかなり違いますね。
瓜田純士「ドブネズミのバラード」(→amazon.co.jp)読了。
僕が彼の顔に見覚えがあったのは、この本のカラーページにも掲載されている供攻社の記事を読んだからでした。あの一目見て強い印象を残す男が逮捕され、刑期を終え、そして作家になって僕の手元に本が届くとは。編集が海猫沢めろんさんと北尾修一さんというコンビなのにも驚きました。
一読した印象は、ケータイ小説に近い感覚のスタイルだということ。しかし、そんな違和感も、幼少時から暴力に血塗られた自伝を読むうちに忘れていきます。アウトロートしての陰惨な日々と、その後に訪れる精神的に崩壊していく日々の強烈なコントラスト。
実在する登場人物への配慮で一部意図的に話が省略されていて食い足りない部分もありますが、壮絶な人生が読者を引き込みます。この自伝を経て、フィクションの作品を書いてくれることも期待したくなりました。
宇多丸「ライムスター宇多丸の「マブ論 CLASSICS」 ―アイドルソング時評2000-2008―」(→amazon.co.jp)購入。「BUBKA」での連載をまとめた待望の書籍化です。
綿矢りさが読売新聞で書評を担当しているそうで、4月7日の「ペット・サウンズ」ではThe Beach Boysについて語っており、衝撃で卒倒しそうになりました。なんと綿矢りさはThe Beach Boysの「Pet Sounds」(→amazon.co.jp)を聴いたことがあり、それは村上春樹の影響だったそうです。
読売新聞での綿矢りさの書評は今年から始まったようで、1月15日の「失われた時を求めて 第1巻」、2月12日の「きみを想う夜空に」、3月17日の「やっぱり危ないタミフル」もオンラインで公開されています。
加藤千恵短歌、タクマクニヒロ写真「放課後―写真短歌部」(→amazon.co.jp)、高橋脩漫画、GAINAX・カラー原作「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」第5巻(→amazon.co.jp
)購入。
藤井誠二「学校は死に場所じゃない―マンガ『ライフ』で読み解くいじめのリアル」(→amazon.co.jp)は、ノンフィクションライターがすえのぶけいこのマンガ「ライフ」を通していじめについて書いた書籍。
ふりがなの多さや敬体で、一読してこの本が若い読者に向けて書かれていることがわかります。携帯電話、ブログ、「学校裏サイト」と呼ばれる掲示板などが存在するために、学校という場の同調圧力から24時間逃げられない現状を指摘し、ときに「ライフ」のリアルさと現実との違いについても言及しつつ、藤井誠二は学校は「通過すればよい」と明確なメッセージを発しています。
「学校にクラスや固定席はいらない」「すべての学校にソーシャルワーカーを」といった提言を盛り込みつつ、相談を誰にすればいいのかも具体的にアドバイスしており、単なる「ライフ」の便乗本ではない重みがありました。少年事件のルポタージュを書き続けている藤井誠二らしい内容です。
名越康文、宮台真司との対談も収録。ただ、前述のような本書の性格を考えると、宮台真司の発言はやや難解でバランスを悪くしているようにも感じました。
鈴木謙介「ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか」(→amazon.co.jp)は、社会学者が情報化社会を考察した書籍。
テクノロジーが発達し、ユビキタス化、ヴァーチャル化が進む状況の中では、自分に関する情報が偏在するようになり、人間の行動をも決定づけることになる、というテーマを掲げています。インターネットを含む現在のIT技術の根幹が、ヒッピー・カルチャーに影響を受けているという指摘は、近年では忘れられがちですが重要な指摘です。また、宿命と人間の関係を考える際に、古谷実の「ヒミズ」を例に挙げるというアクロバティックな展開は面白かったです。
ただ、副題の「〈遍在する私〉をどう生きるか」というような具体的な未来像の提示に関しては、セカイ系などを引き合いに出してもなお物足りなく、残念に感じました。
浅野いにお「おやすみプンプン」第2巻(→amazon.co.jp)、柏木ハルコ「地平線でダンス」第3巻(→amazon.co.jp
)、笙野頼子「萌神分魂譜」(→amazon.co.jp
)購入。
吉田アミ「サマースプリング」(→amazon.co.jp)は、ミュージシャン、文筆家として活動する著者の初の単行本。編集は郡淳一郎と木村カナが担当しています。
吉田アミの単著の発売がアナウンスされてから実際に発売されるまで、いったいどういう内容なのか僕は知らずにいたのですが、購入してみるとそこには「ノンフィクション」という文字が。主人公も「吉田亜美」であり、彼女の中学生1年生の春から夏の日々を描いた作品でした。
そして、読み進めているときの感想を正直に記すならば、それは強烈な困惑でした。気の触れた「ハハ」と「ソボ」と同居する絶望的な生活、友人や教師との関係が生み出す自意識のねじれ。凶悪なまでに生々しい記録です。
あとがきで吉田アミは、「この原稿は誰にも見せたくないくらい嫌なのだ」と述べ、そしてそれを公表する理由と、現在から見た当時の自分への感想を記しています。本編を通読した後に読んだこのあとがきは、ある種の達観を含むがゆえに、何かの深淵を覗いたかのような気分になるものでした。彼女の次の著作には、このあとがきの感覚の作品への濃厚な反映を期待したいです。
安藤健二「封印作品の闇 キャンディ・キャンディからオバQまで」(→amazon.co.jp)は、「封印作品の謎2」を改題、加筆・修正、新編集した文庫。
「封印作品の謎2」については、「2007年にほとんど封印されている『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』を求めて」でもご紹介しましたが、文庫版のために書き下ろされた第5章では、遂に決定的と思われる理由を、小学館の元幹部からの証言を元に記しています。僕も「サイゾー」で「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」の絶版問題を扱った際には、藤子プロや小学館のあまりの防壁の高さに驚かされたものですが(ちなみに本書の319ページに出てくる『ある雑誌記者』とは僕のことです)、遂に安藤健二は裏を取ることに成功したわけです。核心部分を書いたこと自体もリスキーな行為なだけに、この新章には敬意すら感じました。「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」ファンは必読です。
本書で扱われている作品は、前述の「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」のほか、「キャンディ・キャンディ」「サンダーマスク」「ジャングル黒べえ」。通読して感じるのは、ジャーナリストとしての安藤健二の探究心の強さです。「キャンディ・キャンディ」については漫画原作システムの抱える問題点を竹熊健太郎に聞き、「ジャングル黒べえ」については黒人差別の当事者側にいるオスマン・サンコンに意見を求めています。必ずしもすべての作品の封印の謎は解けていないものの、それでも読後に不満が残らないのは、こうした取材の厚みによるものでしょう。それは結果的に、単なる金銭問題にとどまらない、サブカルチャーをとりまくビジネスの問題を浮き彫りにしています。
文庫化にあたり、引用図版が一気に増え、資料性が増した点も嬉しかったです。
直枝政広「宇宙の柳、たましいの下着」(→amazon.co.jp)、kashmir「○本の住人」第2巻(→amazon.co.jp
)購入。
直枝政広「宇宙の柳、たましいの下着」は、4曲の未発表音源を収録したCD付き。
玉川博章、名藤多香子、小林義寛、岡井崇之、東園子、辻泉「それぞれのファン研究 I am a fan」(→amazon.co.jp)は、ファン行為を社会学の視点から考察した論文集。
この本で最も刺激的なのは、辻泉によるジャニーズのファンの考察です。ここではファンの間に出回る怪文書に注目して、裏情報の流通や他者攻撃のために利用されてきた怪文書というメディアと、ファンのメンタリティを研究しています。そもそも僕はこうした怪文書の存在自体を知りませんでした。現物の写真もあるのですが、かなり恐いです。
玉川博章は、コミックマーケットのスタッフに着目し、ファン行為そのものよりもコミックマーケットというファンダムの場の形成に注力する人々を取材。名藤多香子は、「やおい」や「腐女子」と形容される女性による二次創作について、そうした文化を語ると内部からのバッシングを受ける可能性を指摘し、彼女自身も非常に慎重な筆運びをしています。小林義寛はエロゲーとパソコンの進化の歴史を記しているのですが、それはそのままひとつの個人史になっていて読み応えがありました。岡井崇之は格闘技について、プロレスのファンは物語消費、総合格闘技のファンはデータベース的消費という指摘をしているのが興味深いです。東園子は宝塚の文化を論じていますが、ファン行為への言及はやや物足りなく感じました。
雑誌の表紙の画像も参考資料として掲載されていますが、画質が荒かったり、不自然に人物を黒く塗りつぶしていたりするのは残念。これなら掲載する必要がないのではないでしょうか。
くらもちふさこ「駅から5分」第1巻(→amazon.co.jp)、ゴージャス宝田「絶体絶命教室」(→amazon.co.jp
)、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 ENTRY FILE 1」(→amazon.co.jp
)購入。
日本の大家族シーンに衝撃を与えた青木家。その青木あざみさんの2冊目の著書「いつも。」(→amazon.co.jp)が、11月2日に竹書房から発売されます。竹書房さんのご厚意で先週ゲラをいただいて拝読したのですが、第2児・かなみちゃんの誕生の経緯も含め、まさにテレビ放送終了後の青木家について綴られた内容です。詳しい内容については、また別の場所でご紹介させていただきます。
また、あとがきを書いているのはお父さんの青木信義さんなのですが、約20ページに及ぶ濃い内容。これを読むためだけにでも「いつも。」を買う価値はあると思います。

樋口ヒロユキ「死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学」(→amazon.co.jp)は、ゴシック・ロリータとその周辺文化についての書籍。
混同されがちですが、ゴシック・ロリータ(ゴスロリ)、ゴシック、ロリータはそれぞれ概念が異なるもの。そのことを著者はまず明確にしつつ、ゴシック文化の背景を解き明かしていきます。納得させられたのは、ゴシックが建築、文学などのアートの文脈から派生しながら現在では別の次元にある文化だということ。ゴシックの起源を、ゴシック建築にまで立ち返り、具体例を挙げながら解説していきます。
そして、人形、SM、寺山修司、グロテスクという周辺文化もレポート。この中でも特に興味深かったのは、まず一般的には単純に右翼のイメージが強い三島由紀夫についてSMの章で触れ、彼の天皇への強烈なマゾヒズムを指摘している点です。僕自身の三島由紀夫についての認識を大きく変えるのに充分な説得力がありました。
また、面白いのが、1998年に青森市内で開催された天井桟敷再結成公演「人力飛行機ソロモン」のレポート。市内を劇場として、観客をも演劇を構成する一部として巻き込み、虚構と現実が侵食しあうメタ構造の「演劇」のユニークさがリアルに伝わってきます。
そして、本書のひとつの目玉というべきなのが「秘密結社★少女椿団」の結成までの経緯。丸尾末広のマンガを原作にして、原田浩がひとりで1時間弱の作品の原画を制作したアニメ「少女椿」は、その内容などから国内での上映が禁止されてしまいます。それをなんとか再上映するために、樋口ヒロユキが奮闘し、最終的に300人になった「秘密結社★少女椿団」を前に上映するまでのドキュメンタリー。業の深い作品を上映するために因果な人々が集まる過程を描いた痛快な物語です。
一点だけ気になったのは、オタクとゴスロリとの関係を語るときに、やおいがゴスロリ中心のもののようにも読めてしまう点で、こうしたオタク文化への目配せはやや甘い気がしました。
とはいえ、研究のみならず数多くの「フィールド・ワーク」が記録された本書は、ゴシック・ロリータとその周辺文化を鮮やかに浮き彫りにする本として非常に読み応えがあります。当たり前のことですが、よくわからないことについて丁寧に、そしていきいきと解説してくれる本ほど面白いものです。
「俺」「連中」といった荒っぽい言葉を使いつつも、全体として美文で綴られている点も特筆したいです。
そして、本書を貫いているのは、聖なるものを汚すことによってこそ、より高い聖性を享受できるという視点。善なるものに挑戦することによってより真実に近づけるという姿勢に貫かれた本書は、極めて同時代的かつ挑発的な内容でした。
熊谷貫「菅谷梨沙子最新写真集『pure+』」(→amazon.co.jp)は、Berryz工房の菅谷梨沙子の2冊目の写真集。
彼女ほどの美少女でも、2冊目となると最初の写真集ほどインパクトがなくなるのは仕方ないところです。しかし、北海道と沖縄で撮影されたこの写真集には、笑顔だけではなく憂いを感じさせる写真が多く収録されているのが特徴。
特に、白い光が当たる窓辺で白い服を着て人形のように美しい横顔を見せている写真や、黒いタンクトップに白いシャツを羽織って大人っぽい視線をカメラに向ける見開き2枚の写真に強烈な魅力を感じました。
廃車となったバスの中に立つ姿も、菅谷梨沙子の非凡な美しさを浮き上がらせています。
阿部和重「シンセミア」第1巻(→amazon.co.jp)第2巻(→amazon.co.jp
)第3巻(→amazon.co.jp
)第4巻(→amazon.co.jp
)読了。2003年に上下巻で発売され、2006年に4分冊されて文庫化された作品です。
当初は、4巻という長さ、戦前から物語が始まる壮大なスケールと、登場人物のあまりの多さに尻込みしましたが、第3巻あたりからは夢中で読み進めました。「神町」という狭い街を舞台にして露悪的なまでに描かれる、性癖と暴力と謀略とドラッグ。血生臭い展開を続けながら、住人たちの所業は複雑に連鎖していきます。そして、天災を機に心霊の恐怖に囚われて狂っていく町民。面白いと表現すると不謹慎になりそうな内容ながら、やはり面白いのです。
終盤の町民の集団心理と田宮家の排除、そして一夜にしてたたみかけるように崩壊が襲ってくる展開にはやや無理も感じましたが、その過剰なほどのドラマティックさこそが、古い歴史から入念に物語を積み上げているこの作品の醍醐味でしょう。大筋ではきれいに明かされる秘密と、残されたわずかな謎。不穏なエンディングも阿部和重らしいです。
多用される太字の独特の用法、「阿部和重」が登場するメタ構造も、物語において有効に機能しています。終盤において、それぞれの秘密を巡って登場人物たちが駆け引きをするシーンの描写は特に読み応えがありました。
菅野ぱんだ撮影「成海璃子写真集 Natural Pure」(→amazon.co.jp)は、ニュージーランドで撮影された成海璃子の2冊目の写真集。
笑顔から憂い顔まで、成海璃子は完璧な美少女ぶりを見せつけます。菅野ぱんだは、それを妙に凝ることなくストレートに撮影。この写真集の最大のポイントは、ビキニでの泥スパの部分でしょう。一方で、同じくビキニで泡風呂に入っている部分はよく意図がわかりませんでした。
ともあれ、全体を通して成海璃子はすでに「可愛い」を通り越して「美しい」ので、写真集としての満足度は高いです。
落合尚之「罪と罰」第1巻(→amazon.co.jp)、やまむらはじめ「神様ドォルズ」第1巻(→amazon.co.jp
)、熊谷貫「菅谷梨沙子最新写真集『pure+』」(→amazon.co.jp
)購入。そして、トラさんに教えてもらった松浦理英子、笙野頼子「おカルトお毒味定食」(→amazon.co.jp
)を古本で買いました。
枡野浩一「一人で始める短歌入門」(→amazon.co.jp)は、株式会社CHINTAIの「いい部屋みつかっ短歌」コンテストの応募作100首を紹介しつつ、短歌の作り方をレッスンする本。
本書は基本的に、右ページに短歌1首のみが掲載され、左ページにその短歌についての枡野浩一による批評、解説が掲載されています。枡野浩一は本当に言語表現の細部まで繊細に分析していて、特に「あの頃」という言葉の持つ甘さについての指摘には、僕までドキリとさせられてしまいました。また、左ページがそれぞれ1本のエッセイとして完結されているのも、文筆家としての枡野浩一の力量の高さを感じさせます。
短歌に興味がある人はもちろん、そうではなくても文章表現全般に興味のある人なら読む価値がある1冊でしょう。
タブロイドと愉快な仲間たち「超解読 涼宮ハルヒ」(→amazon.co.jp)は、小説版の「涼宮ハルヒ」シリーズとアニメ版の「涼宮ハルヒの憂鬱」を異常な情熱とともに研究した書籍。執筆者は、久保内信行、坂本寛、小板橋英一、岡村美基男、塩郷明、安藤星彦、西浦康平(新人)、若尾空、村中宣彦です。
まず前半は小説版についての研究なのですが、「涼宮ハルヒ」シリーズに散りばめられたSFやミステリの要素の解説は、その方面に疎い僕には非常に面白く読めました。
そして圧巻なのが、「涼宮ハルヒ」シリーズに登場する数式めいたものの解析や、「長門」という名の由来、果ては陰陽道に言及してまで「深読み」を行っていく部分。本書でもっともマッドにして、それでいて一定の説得力を感じさせてしまう部分です。なお、「Surely you’re joking, Mr... twisted! - ハルヒの愛した数式」では数式関連に関する最初の考察が公開されています。
そして後半はアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」について。「新世紀エヴァンゲリオン」との比較をしつつ、「新世紀エヴァンゲリオン」非直撃世代が「涼宮ハルヒの憂鬱」が「新世紀エヴァンゲリオン」と比較されることを嫌う理由を分析していて、かつて「『涼宮ハルヒの憂鬱』は結局のところ『ポスト・エヴァ』なのか?」というエントリーを公開して様々な反論を受けた僕としては、思わずニヤリとさせられました。
また、京都アニメーションの歴史、石原立也や山本寛をはじめとするスタッフなどについても詳細に解説。読み終えると、執筆陣の熱が移ったように「涼宮ハルヒの憂鬱」を最初から見返したくなる1冊でした。
ところで、表紙の写真の地上絵の制作映像をまた貼っておきますね。
本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(→amazon.co.jp)は文庫本。
自分が特別な存在だと信じて疑わない澄伽、家族の不幸に心を痛めながらも「面白い」と感じてマンガにしてしまう清深、幸せを求めることをしない待子という3人の女性キャラクターの対比が強烈でした。この3人のそれぞれの自意識を描きわける本谷有希子には、女性としての情念すら感じます。
吉田アミ「サマースプリング」(→amazon.co.jp)、鈴木謙介「ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか」(→amazon.co.jp
)、藤井誠二「学校は死に場所じゃない―マンガ『ライフ』で読み解くいじめのリアル」(→amazon.co.jp
)、古谷実「わにとかげぎす」第4巻(→amazon.co.jp
)、「熱血!! コロコロ伝説 vol.2 1979-1980」(→amazon.co.jp
)購入。
「熱血!! コロコロ伝説 vol.2 1979-1980」は、藤子・F・不二雄の「新オバケのQ太郎」を3作品収録しています。そのどれもが、現在比較的入手が容易なてんとう虫コミックス版には収録されていない作品です。詳しくは、「2007年にほとんど封印されている『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』を求めて」の「3.単行本『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』を求めて」をご覧ください。
富田英典、南田勝也、辻泉「デジタルメディア・トレーニング 情報化時代の社会学的思考法」 (→amazon.co.jp)は、デジタル・メディアを社会学の視点から考察した書籍。
携帯電話、ホームページ、デジタル化された音楽、ビデオゲームなどが取り上げられていますが、面白いのはまず冒頭でそうしたメディアが読者にとって敵か味方かの判断を求めている点です。それによって読者は必然的に自身の経験と重ね合わせながら読み進めることになります。
携帯電話については、メールアドレスを変更することで友人関係を切ることが容易な点や、それが招く人間関係の同質化などを指摘。またホームページに関しては、社会的属性のない移行期的な存在である「コミュニタス」という概念を提示します。また、ソーシャル・ネットワーキング・サービスもあくまで出会い系サイトとして分析。独自の視点がいくつも登場しています。
こうした「現在編」だけでも充分な情報量なのに、本書はさらに「過去編」「未来編」を併せ持っています。「過去編」では資料性を高め、「未来編」では東浩紀が考案した「動物化」や、「複合現実社会」といった概念を紹介。こうした3部構成が、本書をより刺激的な内容にしていました。
枡野浩一「一人で始める短歌入門」(→amazon.co.jp)、菅野ぱんだ撮影「成海璃子写真集 Natural Pure」(→amazon.co.jp
)、藤井誠二「少年犯罪被害者遺族」(→amazon.co.jp
)購入。
梅田望夫、茂木健一郎「フューチャリスト宣言」(→amazon.co.jp)は、梅田望夫と茂木健一郎の対談と、それぞれの特別授業を収録した本。
梅田望夫と茂木健一郎の対談ということで、脳科学や現在の大学の限界といった話題も出てきて話はそれなりの広がりを見せますが、いかんせんふたりともWeb2.0礼賛で「未来は良くなる」とフューチャリスト宣言をしている者同士なので、あまり内容に深みは感じませんでした。興味深いのは、あの梅田望夫でさえブログを書くことでGoogleに搾取されていると感じていた時期があったという話と、ソーシャル・ネットワーキング・サービスはWeb 1.0だと断言している部分ぐらいでしょうか。
それにしても梅田望夫の発言は、シリコンバレー的オプティミズムに貫かれているあまり、意図せずともアメリカ至上主義になっているように感じられました。当人がこの点に自覚的ではなかったとしたら恐ろしいことです。もはや彼の頭の中には9.11すらないのではと思わせるものがあります。
枡野浩一「石川くん」(→amazon.co.jp)は、「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載され、2001年に朝日出版社から発売された単行本の文庫化。可愛らしいイラストは朝倉世界一が担当しています。
石川啄木が実は難儀な人物だったことを僕が知ったのは、関川夏央原作、谷口ジロー作画の名作「『坊っちゃん』の時代」によってでした。そしてこの「石川くん」は、おそらく自分に通じる何かをその石川啄木に見出した枡野浩一が、石川啄木の作品や日記に愛情とともにツッコミを入れつつ、石川啄木の作品を現代語で改作した短歌を掲載していきます。僕の好きな改作をひとつ挙げると、
ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく
という石川啄木の短歌が、
ふるさとのなまりはいいな
人ごみにわざわざ行って
耳をすました
と枡野浩一によって変えられています。当時としては実験的な作風の歌人だったという石川啄木の作品が、以前は「特殊歌人」と名乗っていた枡野浩一を刺激したことは想像に難くありません。現代の表現への翻訳、独自の解釈、語句の取捨選択、語順の変更など、様々なバリエーションによる改作を読むことができます。
そして、短歌に続くのがエッセイ部分。ウェブ連載という性格上、文章の長さはバラバラなのですが、それぞれの文章をユーモアを交えて完結させる手腕は鮮やかで、そこにささやかな嫉妬を覚えました。と、嫉妬してみると石川くんっぽい?
藤子・F・不二雄「ミノタウロスの皿」(→amazon.co.jp)、野本明照「チナミの風景」(→amazon.co.jp
)、本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(→amazon.co.jp
)購入。
島本理生「大きな熊が来る前に、おやすみ。」(→amazon.co.jp)は、3作品からなる恋愛小説短編集。
生活の中でふと目に留まる違和感への冷徹なほどの観察眼は、読んでいて緊張してしまうほどのものがあります。そして、登場人物のバックグラウンドを徐々に語る伏線の張り方が巧いです。3作品それぞれのエンディングの残す淡い余韻にも酔わされました。
梅田望夫、茂木健一郎「フューチャリスト宣言」(→amazon.co.jp)、藤井誠二「殺された側の論理 - 犯罪被害者遺族が望む『罰』と『権利』」 (→amazon.co.jp
)、阿部和重「シンセミア」第1巻(→amazon.co.jp
)第2巻(→amazon.co.jp
)第3巻(→amazon.co.jp
)第4巻(→amazon.co.jp
)購入。
5月4日に放映されたTBS「筑紫哲也NEWS 23」を見ました。筑紫哲也と綿矢りさは生放送で対談するのかと思ったら、筑紫哲也すらスタジオには現れず、対談部分は録画。対談は3ヶ所ほどで撮影していて、終始嬉しそうな筑紫哲也と、ちょっとメイクが濃いめの綿矢りさが印象的でした。目新しい話題は特にありませんでしたが、綿矢りさがテレビを見るのが好きだという話はちょっと意外。

地下沢中也「預言者ピッピ」第1巻(→amazon.co.jp)、古谷実「わにとかげぎす」第3巻(→amazon.co.jp
)、古本で今村敏彦撮影「亀井絵里写真集 17才」(→amazon.co.jp
)購入。
谷川流「涼宮ハルヒの分裂」(→amazon.co.jp)は、「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズ9冊目の文庫本。
それにしてもこの「涼宮ハルヒの分裂」、この巻だけで終わらないとは……! ともあれ、まるでギャルゲーのようにストーリーが分岐して平行して進み、それが元に戻らないままこの「涼宮ハルヒの分裂」は次の巻へと続きます。文学的というのともちょっと違う回りくどさを誇る谷川流の文体は相変わらずですが、構成と続巻への「引き」という点ではシリーズ中でもっとも良くできた作品でしょう。続巻「涼宮ハルヒの驚愕」は6月1日発売。
高野祐太「カーリングガールズ〜2010年バンクーバーへ、新生チーム青森の第一歩」(→amazon.co.jp)は、チーム青森についての初の書籍。
高野祐太は文章と写真をともに手掛け、半分はドキュメンタリー、半分は写真集といった趣きの構成です。小野寺歩選手と林弓枝選手が脱退した後の新生チーム青森を追った内容で、寺田桜子選手、目黒萌絵選手、本橋麻里選手、山浦麻葉選手のそれぞれの少女時代から、2006年の日本カーリング選手権大会までをレポートしています。
この本で特に有益なのが、チーム青森に関わってきた多くの人たちが紹介されている点。また、チーム編成やカーリング選手としての生活の難しさも浮き彫りにしています。
今年の世界女子カーリング選手権大会では様々な問題点も指摘されたチーム青森。しかし、未来はまだこれからだと応援したくなる1冊です。
京都新聞に「綿矢さん一日図書館長に 子ども読書の日を記念、中京で式典」という記事が。 京都市中京区の市中央図書館で一日図書館長を務めた綿矢りさを写真付きで紹介しています。
引き続き行われた交流会では、綿矢さんが「自分の作品には過激な表現もあり、年下の人が読むと思うとどきどきする」などと創作秘話も交えながら高校生の質問に答えた。
以前にもイベントで同様の発言をしていたような……。
東浩紀「コンテンツの思想―マンガ・アニメ・ライトノベル」(→amazon.co.jp)は、マンガ、アニメ、ライトノベルなどのコンテンツについて東浩紀が行った対談、鼎談を収録した単行本。
第1章は、新海誠、西島大介との鼎談。この鼎談では、新海誠と西島大介のロジックへの距離感や、過去のサブカルチャーの重みに対する意識の度合いの違いが、鮮やかなほど浮き彫りになっていて面白いです。
第2章は神山健治との対談。アニメを通して、戦争のリアリティ、政治性、社会的不安感などが語られていて、もっとも社会批評的な色彩が濃いです。
第3章は、伊藤剛、夏目房之介との鼎談。「キャラ」と「キャラクター」を分けて考えることを、物語とデータベースに重ね合わせつつ語っています。ただこの章は、伊藤剛の「テヅカ・イズ・デッド」(→amazon.co.jp)と併読したほうが良さそうです。
第4章は、桜坂洋、新城カズマとの鼎談。ミステリやSFといったジャンルは横軸に並べて、純文学などの自然主義的リアリズムと、ライトノベルなどのまんが・アニメ的リアリズムを同じ縦軸に並べてしまう発想が刺激的でした。これは「ゲーム的リアリズムの誕生〜動物化するポストモダン2」(→amazon.co.jp)も読んでおいたほうが良いかなぁ……。
双葉社の方から松本美香「ジャニヲタ 女のケモノ道」(→amazon.co.jp)をいただきました。松竹芸能所属のピン芸人にして、20年に渡ってジャニヲタ(ジャニーズのオタクの意)である松本美香が、ジャニヲタの用語、心理、イベントでの行動など、その生態を描いた本です。
お下品な表現も多用しつつ書かれる文章は、芸人らしくひとりでボケてひとりでツッコミをしているので、寒く感じるところもあります。ただ、もうひとつ芸人らしいと感じたのは、ジャニーズにヒートアップしつつも、そんな自分を冷静に客観視しているところ。一時期は原爆オナニーズや渋谷系も愛したものの、結局ジャニヲタに舞い戻ってしまう松本美香の業の深さが、本一冊分という分量に渡って綿々と綴られています。ジャニヲタという人種の記録としては、民俗学的な価値があるのではないでしょうか。
一番すごいと感じたのは、松本美香が当時の担当(好きなジャニーズのタレント)が京都の劇場に長期出演したので、自分も京都に引越したというエピソード。微笑ましくも狂っています。一方で、僕が個人的に聞くような現場のジャニヲタ同士の上下関係や、ジャニーズ事務所が目を光らせるインターネット上におけるジャニヲタの水面下での活動については触れられていませんでした。松本美香には、いつかジャニーズ事務所に睨まれるぐらいタブーを赤裸々に綴ってほしいものです。
島本理生「大きな熊が来る前に、おやすみ。」(→amazon.co.jp)、「Quick Japan」Vol.71(→amazon.co.jp
)購入。「Quick Japan」にはtoutouの1ページ記事が掲載されています。
島本理生と佐藤友哉が結婚したことを「サニーデイ - びっくり」で知りました。「暫定ワカコの日記:じんせいのはるやすみ編 - ぎりりの日。」によると、メールマガジンファウスト50号からの情報らしいです。そういえば、島本理生の待望の新刊「大きな熊が来る前に、おやすみ。」がいまだに見つけられないので早く読みたいところ。
京都市中央図書館のサイトで、「京都市出身の芥川賞作家 綿矢りささんが1日中央図書館長に」というアナウンスがされています。
●日 時/4月29日(日・祝) 10:00〜 (9:30開場)
●場 所/京都市生涯学習総合センター(京都アスニー) 4階ホール
《綿矢りささんを囲んで》 (※定員・先着400名)
・高校生の代表がインタービュー形式で綿矢りささんの魅力に迫ります。《綿矢りささんより表彰状授与》
・京都市子ども読書活動優秀実践団体(者)表彰式
・第1回「めざせ100冊!読書マラソン」達成おめでとう表彰式《綿矢りささんサイン会》 (※定員・先着100名)
・お一人につき一冊,著書へのサインに限ります。
・綿矢りささんの著書の販売コーナーもあります。
※託児あります(満1歳〜就学前まで)
定員数も多くて充実した内容のイベントのようなので、京都方面の方は参加されてはいかがでしょうか。
若手歌人の加藤千恵の短歌に関する連載が2本進行中です。
ひとつは、スリーエーネットワークでの「かとちえの短歌教室」。初めて見る著者プロフィールの写真です。もうひとつが、集英社の携帯電話向けコンテンツでの「かとちえの短歌days」。ともに短歌の投稿作品を募集中です。
枡野浩一の掲示板に16歳で登場した加藤千恵が、自身で短歌講座を開くまでになったことは感慨深いですね。
高野祐太「カーリングガールズ〜2010年バンクーバーへ、新生チーム青森の第一歩」(→amazon.co.jp)、谷川流「涼宮ハルヒの分裂」(→amazon.co.jp
)、小田扉「団地ともお」第9巻(→amazon.co.jp
)購入。
3月28日に再放送されたNHK教育「NHK俳句」を見ました。「綿矢りさがNHK教育に出演」で紹介した、綿矢りさがゲストとして出演した番組です。
綿矢りさはいつもメディアに出るときと同じような服装でした。決め衣装でしょうか。番組では、自作の俳句を披露したり、投稿の俳句にコメントしたり、好きな蕪村の俳句を紹介したりしていました。選者の茨木和生に、今回のテーマの「春の雪」がぴったりだと言われて照れる仕草が良かったです。
ところでこの「NHK俳句」、本当に俳句だけで30分をもたせているのですごいと感じました。
3月24日に放映されたNHK教育「NHK俳句」に綿矢りさが出演したそうです。その再放送が3月28日(水) 5:30〜6:00にあるとのこと。Yahoo!テレビにも以下の情報が掲載されています。
NHK俳句[再] 「早春の淡水魚」
3月28日(水) 5:30〜6:00 NHK教育 Gコード(23157)
綿矢りさ, 茨木和生
綿矢りさ「夢を与える」(→amazon.co.jp)を単行本で改めて読了。初出時の感想は「『文藝』2006年冬季号」にあります。
主人公・夕子の誕生前から描かれるこの物語を再び読んでみると、単に厚みがあるだけではない、母娘二代に渡る喪失の物語なのだと気付きました。前半で夕子の健やかな成長が描かれるぶん、後半ではスターになった彼女が抱える強迫観念、そしてすべての瓦解が重くのしかかってきます。
そして改めて、芥川賞受賞後の綿矢りさならではの挑戦作だという感を深くしました。
この「小心者の杖日記」を擁するoutdex.netは現在、paperboy&co.という会社が運営するチカッパ!
というレンタルサーバを利用していて、その前は同じくpaperboy&co.のロリポップ!
を利用していました。その関係でpaperboy&co.の社長である家入一真のサイト・hbkr : ハバカリを見ることもあり、その度に写真好きで家族好きな人だなという印象を受けていました。
サイトからもうかがえる、そんな家入一真の人柄がどのようにして形成されたのか。それがわかる本が、家入一真「こんな僕でも社長になれた」(→amazon.co.jp)です。
この本の大きなポイントは、インターネットに触れてからの話が出てくるのが、本の後半も過ぎた頃だという点です。前半は、家入一真の学生時代の登校拒否とひきこもり、貧乏な暮らしとやがて訪れた両親の離婚による家庭の崩壊といった、ヘヴィな内容が続きます。その点で、書名からイメージされる「インターネットでの成功譚」とは大きく趣が異なる本。家入一真はこれまで逃げて逃げてきたと語っており、その過程が赤裸々に記されているのがこの本です。
そんな過去ゆえに幸せな家庭を築きたいと願っていた家入一真だからこそ、妻が妊娠した際に彼女のそばにいるべく、ロリポップ!をスタートさせたといいます。そして、paperboy&co.のサービスに漂うアッパーさも、家入一真のナイーヴさと裏表の感覚なのだろうと、この本を読み終えて感じました。
サクセスストーリーの本、と単純に済ませられない重みがある一冊。そして、Movable Typeがいい子にしていてくれるか不安ではあるものの、チカッパ!を使い続けたい気分にさせられる本でした。
有隣堂ルミネ横浜店で、綿矢りさ「夢を与える」(→amazon.co.jp)刊行記念サイン会。
会場に着いてみると、参加者の半分ぐらいは年配の方でした。そしてサイン会のブースは、10人以上のスタッフが周囲を囲んで目を光らせ、さらにブースの半分ぐらいを壁で囲うという厳戒態勢。握手、撮影は禁止です。
そしてサイン会開始。ちょっと意外なことに、サイン中の綿矢りさに気軽に話しかけることができる雰囲気でした。しかも参加者のひとりひとりの目を見ながらお礼を言う綿矢りさ。左手でサインを書く彼女は、やはり美しい人でした。
終了後は、綿矢りさ夫さんと初対面。綿矢りさからテキストサイトの歴史までお話しさせていただきました。
2月8日に新刊「夢を与える」(→amazon.co.jp)を発売した綿矢りさが、その刊行記念サイン会を大阪に続き横浜でも開催するそうです。日時は2月18日、開催するのは有隣堂のルミネ横浜店。
追記:ゼラ泉さんに教えていただいたところによると、「河出書房新社 イベント情報」にあるように首都圏でも全8ヶ所でサイン会が開催されるようです。
綿矢りさが2月5日にNHK「首都圏ネットワーク」に出演し、2月8日発売の「夢を与える」(→amazon.co.jp)などについて語りました。サイン会の開催といい、新刊のプロモーションに積極的ですね。
ところで何かのURLがあったので貼っておきますね。
2月8日に新刊「夢を与える」(→amazon.co.jp)を発売する綿矢りさが、その刊行記念サイン会を開催することをゼラ泉さんに教えていただきました。
行きたいのですが、よく見れば場所は紀伊國屋書店梅田本店。大阪です。しかも2月9日以降の購入者先着150名限定。僕は泣く泣く諦めますが、関西方面の綿矢りさファンの皆さんのご健闘をお祈りします。
速水健朗「タイアップの歌謡史」(→amazon.co.jp)は、日本で独自に生まれ育ったタイアップ方式の歴史をまとめた本。
しかし、単純なタイアップの話題だけにはとどまらず、プロモーションという切り口から、経済、文化も視野に入れつつ、日本のポピュラー音楽の歴史を語った非常に意欲的な内容です。
本書では、映画、ラジオ、テレビといったメディアとのタイアップの歴史はもちろんのこと、芸能プロダクション、原版権と音楽出版社、レコード会社と専属制といった、日本のポピュラー音楽を生み出してきたシステムについても、豊富なエピソードを交えつつ解説しています。
また、ニューミュージックのアーティストがテレビ出演を拒否することが多かったある理由、「ザ・ベストテン」の黄金時代とイメージソングの全盛時代の重複、モーニング娘。の原版権の複雑さ、イメージソングとタイアップソングの違い、ビーイングの匿名性など、興味深い指摘が多数ありました。
日本のポピュラー音楽に興味を持つ人には極めて有益な1冊でしょう。
1月3日付けの朝日新聞朝刊に、綿矢りさと田辺聖子の対談記事が掲載されました。現在のところasahi.comには掲載されていない模様です。この記事を読むために、久しぶりに新聞紙に触れましたよ。
対談では古典文学、作品の評価基準、作家生活について語り合っているのですが、面白かったのは以下の部分。
綿矢 私は自分が本を書くようになって書評が出てることを教えてもらうまで、書評というものを知らなかったんです。
田辺 そうなの?
綿矢 書評というジャンルも、評論家という人の存在も知らなかった。書評で本を手に取るということは今までの生活ではまずなかったし、同じ世代の人も、特に意識はしてないと思う。
このちょっと浮世離れしている感じが、綿矢りさという作家の魅力の一部のように感じます。それとも、彼女の感覚のほうが同世代には一般的なのでしょうか。
情報をくださったゼラ泉さん、ありがとうございました!
青木あざみ「まっすぐに。」 は、2006年の「小心者の杖日記」のアソシエイトで一番売れた書籍。
枡野浩一は、「ショートソング」「結婚失格」(→amazon.co.jp)「金紙&銀紙の似ているだけじゃダメかしら」(→amazon.co.jp
)と、それぞれ別のベクトルを向きながらどれも面白い本を一気に発売していて驚嘆させられました。
豊田正義「消された一家―北九州・連続監禁殺人事件」 は正確には2005年11月発売なのですが、特例として入れています。
そして実のところ、今年発売された単行本こそ無かったものの、2006年に一番作品を読んだ作家は島本理生でした。
サラーム海上「プラネット・インディア インド・エキゾ音楽紀行」

韓東賢「チマ・チョゴリ制服の民族誌 その誕生と朝鮮学校の女性たち」

永山薫「エロマンガ・スタディーズ 『快楽装置』としての漫画入門」

東浩紀編著「波状言論S改 社会学・メタゲーム・自由」(→amazon.co.jp)は、 メールマガジン「波状言論」で行われた、北田暁大、宮台真司、大澤真幸、鈴木謙介を迎えての鼎談を収録した単行本。
この鼎談集で特に刺激的だったのは、「援交から天皇」へ「転向」した宮台真司の思想的変遷が語られる第1章でした。ここで宮台真司は、かつて大塚英志との援交少女をめぐる論争で勝ったと思っていたものの、タフだと思っていた援交少女たちは10年近く経ってみると流動性に耐えられずメンヘル系になっていて、事実上負けてしまったようだと語っています。
宮台真司の著作の多くを読んできた者として、この「勝敗」は納得がゆくものであると同時に、ある種の感慨をもたらすものでした。
梅田望夫、平野啓一郎「ウェブ人間論」(→amazon.co.jp)は、お互いの著書の読者だというふたりによる対談本。
第一章の「ウェブ世界で生きる」では、平野啓一郎は「テクノロジーが発展すれば(中略)人間自体も劇的に変容するでしょうね」、梅田望夫は「ブログを書くことで(中略)自分が人間として成長できたという実感があるんです」と、比較的近い立場で対談が進みます。
それに対して、この本のメインと言ってもいい第二章「匿名社会のサバイバル術」では、ふたりの考えの違いが顕在化。そこで梅田望夫のシリコンバレー的なオプティミズムが発揮されるのですが、その根拠はあくまで彼の経験則という感じで、なんとなく詰めの甘い感じで流れてしまうのが残念です。
第三章「本、iPod、グーグル、そしてユーチューブ」は、梅田望夫の「ウェブ進化論」(→amazon.co.jp)の延長線上にある会話で、あまり「人間論」という感じではありません。
最後の第四章「人間はどう『進化』するのか」では、ふたりとも「ブログ」の定義を近年登場したブログツールを利用したものに限定して話しているようで、その点に違和感を覚えました。
枡野浩一、河井克夫「金紙&銀紙の似ているだけじゃダメかしら?」(→amazon.co.jp)は、顔も姿もそっくりなふたりによる偽双子ユニット「金紙&銀紙」の共著。
ふたりの似ている度合いは尋常ではなく、僕も10年近い付き合いの枡野浩一さんに先日会ったとき、どちらか間違えないように注意するあまり「河井克夫さんですか?」と言ってしまったほどです。この本は、そんなふたりの対談がメイン。オカマ言葉で語られる前半の対談からして、辛口にして異様な密度を誇っています。
また後半の12時間対談は、「ほっといたらこの人どれくらい自分の話をするのか、いっぺん試してみよう」と河井克夫が考えたところ、本当に枡野浩一が自分について語り続ける構図になっていて、担当編集者が途中で「枡野さんは河井さんには興味ないんですか?」と尋ねているのが可笑しいです。
ふたりの共著であると同時に、語り下ろしのエッセイとしても楽しめる本でした。
宮沢章夫「東京大学『80年代地下文化論』講義」(→amazon.co.jp)は、2005年10月から半年間、東京大学教養学部超域文化科表象文化論分科で行われた講義を収録した単行本。
宮沢章夫は、1980年代に原宿に存在したクラブ「ピテカントロプス・エレクトス」をテーマの中心に据え、その空間における価値基準と理念、そしてそこをめぐる文化的な運動を通じて1980年代を振り返ります。そこで語られていくのは、ニュー・ウェーヴ、YMO、いとうせいこう、大友克洋、岡崎京子、そして「おたく」など。そこから宮沢章夫は現代に至る歴史から「反復と変奏」を見出し、そこに抗う批評性の重要性を説きます。
本書で語られる内容では、西武セゾン文化による六本木WAVEから、森ビルによる六本木ヒルズへの変貌の過程が、僕の1980年代の実体験と重なってリアルに感じられるだけに面白かったです。
また、「サブカルチャー」は下位文化を示す言葉だが、「サブカル」はそれ自体がひとつのジャンルを示す言葉だいう指摘も興味深いものでした。
枡野浩一「ショートソング」(→amazon.co.jp)は、作者の初の長編小説。
19歳の童貞と25歳のプレイボーイのそれぞれの視点から交互に語られる構成は、最初こそグルーヴを削いでいるように感じられましたが、読み進むにしたがってつながりのスムーズさを増していきます。
短歌と恋愛を軸にして物語は進み、終盤で「喪失」が登場することで物語はクライマックスに。そして、短歌がテーマになっていたからこその、目が覚めるようなラストを迎えます。同時に、この小説が短歌を作ること、ひいては物を書くことの意味をストレートに語っていることにも気づかされました。これはとても清々しい青春小説です。
作中に大量に引用されている短歌は、枡野浩一自身の作品もあれば他の歌人の作品もあります。登場人物別に短歌を振り分けるうまさも、作者ならではでしょう。
笙野頼子「だいにっほん、おんたこめいわく史」(→amazon.co.jp)は強烈なメタ小説。
元ジャズ・ミュージシャンの百合子が再興させた教団「みたこ」と、それを弾圧する権力「おんたこ」(大塚英志を連想させます)の物語を読んでいると、突然第3章で笙野頼子自身が登場して「書けん……これはひどすぎる」などと突然メタ化するので、面食らうのと同時に笑ってしまいました。
しかしまた物語は続き、時空を飛び越えるストーリ・テリングに圧倒されていると物語は終了。唖然としていると、最後に「言語にとって、ブスとはなにか――困惑した読者のための本作取説――としての、後書き」が親切に(?)用意されていました。
壮絶なドライヴ感。酩酊させられました。
永山薫「エロマンガ・スタディーズ 『快楽装置』としての漫画入門」(→amazon.co.jp)は、エロマンガの歴史を一気に読ませる「第一部 エロマンガ全史」と、ジャンルごとの解説と分析を行う「第二部 愛と性のさまざまなカタチ」から成る単行本。
「第一部 エロマンガ全史」では、手塚治虫を起点として近年の「萌え」に至るまでの歴史を解説し、エロマンガに存在し生き続けている多くのミームを紹介していきます。漠然と知っているつもりでも、改めて読むとその歴史は波乱に満ちていてダイナミックです。
「第二部 愛と性のさまざまなカタチ」では、ときにシュールであり、ときにナンセンスでもあるエロマンガの様々なジャンルについて、読者が一体どこに反応しているのかを深く考察しています。ここまで構造的に解読できるのは永山薫だからこそでしょう。
発売されるすべてのエロマンガをチェックしているという永山薫だからこそ書けたと思わせる労作です。
加藤千恵「ゆるいカーブ」(→amazon.co.jp)は、ショート・ストーリーと短歌のコラボレーション30篇を収録した単行本。
短歌はショート・ストーリーの内容を反映したもので、メインはショート・ストーリーという印象を受けます。そこで描かれるのは、自分で何かを選択した意識がなかったもののいつのまにか選択してしまっていた人々。そうした3ページの物語を女性のみならず男性の視点からも様々なバリエーションで綴っていて、加藤千恵によるもっと長い小説もぜひ読んでみたいと思いました。
何種類もの色や質の紙を使っていて、丁寧な作りの単行本です。
島本理生「一千一秒の日々」(→amazon.co.jp)は、6編の連作短編をメインにした単行本。
ここに収められた7編の短編は、どれも男女の関係性を繊細に描きながらも、あえて生々しさや狂おしさを描くことは避けたような感覚があり、それは登場する男女の、触れ合いそうで触れ合わない、あるいはかすかに触れ合うといった関係にもそのまま反映されています。
それゆえにこの短編たちには一種の爽やかさがあり、そしてその爽やかさは淋しさとも背中合わせであるのです。
島本理生「生まれる森」(→amazon.co.jp)は、2003年に発表された作品の単行本。
それまでの島本理生作品よりも登場人物が増え、各人物の背景が深く描かれつつ結びつくようになっています。そして恋愛における不安定さ、混乱する感覚もよりはっきりと描かれるようになりました。
島本理生自身は「厳密には、この物語は恋愛小説とは言えないかもしれない」とあとがきで述べていますが、恋愛というものが自他にとってどういう作用をするものかを追ったこの作品は、やはりひとつの恋愛小説でしょう。
「Google Earthの歩き方」(→amazon.co.jp)は、Google Earthで見ることができる名所、おもしろスポット、世界遺産などを紹介したムック。珍スポットや危険なスポットなども大量に紹介されていて、こんな場所があるのかと驚かされます。
なかでも皇居のページの「愛子さまのお散歩コース」は、やけに関連情報の下調べをして書かれていて気に入りました。
加藤千恵「ゆるいカーブ」(→amazon.co.jp)、永山薫「エロマンガ・スタディーズ 『快楽装置』としての漫画入門」(→amazon.co.jp
)、山名沢湖「つぶらら」第1巻(→amazon.co.jp
)購入。
枡野浩一「結婚失格」(→amazon.co.jp)は、彼の最大の問題作となるであろう1冊。
主人公のアダルトビデオ監督「速水」が脚本家の妻「香」から突然離婚を突きつけられて調停、裁判と進んで最終的に離婚するこの「小説」は、枡野浩一の実体験をリアルタイムで反映させながら執筆されていたのです。片方だけの視点に肩入れするのは注意が必要だとわかっていても、主人公の苦悶、悲痛さ、疲労感、怒り、やるせなさなどが、冷静な文章を通して生々しく読み手の心の中へ入りこんできます。
そして重要なのは、この小説が「書評小説」であるという点です。離婚をめぐる大変な状況のさなかで主人公は毎回1冊の本を取り上げて批評するのですが、それは主人公の心の動きと大きくシンクロしています。それゆえこの書評小説は、批評というものがどうやって形作られるのかという裏側を見せる作品にもなっているのです。そして、こうした文章を書いている僕の心のどこかも「結婚失格」にシンクロしているのでしょう。
また、この本の冒頭には「愛について」と題された三十首の短歌があるのですが、これまで口語表現にこだわってきた枡野浩一が旧仮名遣いを用いていたので驚きました。そして「結婚失格」の本編を読み終えると、愛憎を通過して残されたかのような冷めた感覚が短歌たちに漂っている理由も理解できる気がしました。
「真夜中のロデオボーイ」と題された「解説にかえて」での穂村弘による枡野浩一への分析は興味深かったです。
森健「グーグル・アマゾン化する社会」(→amazon.co.jp)は、「ロングテール」や「Web2.0」といった言葉がもてはやされる一方で、情報が多様化しているのに一極集中現象が起きている現状をレポートした本。梅田望夫が「ウェブ進化論」(→amazon.co.jp
)で書いていたシリコンバレー的なオプティミズムとは対照的な内容です。
筆者は、AmazonやGoogleで用いられているアルゴリズムなどシステム面も詳しく解説していき、その優れた側面と危惧すべき側面をともに明らかにしていきます。それは、情報と富が一極集中することへの問題提起です。そして、線虫の神経細胞ネットワークや哺乳類の脳のネットワークをも例に出して、一極集中型のハブを持ついくつものクラスターが多くの場面で発生することを紹介し、スケールフリー・ネットワークや収穫逓増といった科学的な概念を提示します。そうした一極集中の例としては、タグやパーソナライゼーションも指摘の対象に。そして最終章では、技術的なアーキテクチャーが主体性ある思考を脅かす危険性を指摘します。
同じ森健による「インターネットは『僕ら』を幸せにしたか?―情報化がもたらした『リスクヘッジ社会』の行方」(→amazon.co.jp)を読んだ際にも感じましたが、Web2.0なシステムも結局は使う側を映す鏡に過ぎず、インターネットはそのメディアの特性ゆえに民度が増幅された形で結果を生み出していくことになるのでしょう。
あえて時代の潮流に逆らって、科学的な資料を提示しながらこの本を著して警鐘を鳴らした森健に敬意を表したいと思います。
島本理生「シルエット」(→amazon.co.jp)は、デビュー作「ヨル」、群像新人文学賞優秀作「シルエット」など3編を収録した文庫本。「シルエット」や「植物たちの呼吸」を読むと、初期から彼女の中で恋愛と死が重要な要素であったことがわかります。
サラーム海上「プラネット・インディア インド・エキゾ音楽紀行」(→amazon.co.jp)を、サラームさんからいただいたインド音楽のCD-Rを聴きながら一気に読了しました。
インド音楽の魅力に目覚めてから、5年に渡ってインド各地を訪れて音楽との出会いを求めてきた筆者の体験をまとめているのがこの本。インド旅行にありがちな「自分探し」の旅をあっさり否定して、ひたすらに音楽を愛好して旅する姿が記録されています。
ここで紹介される音楽は、インド南北の古典音楽から、エイジアン・マッシヴ、ラージャスターン音楽、ボリウッド音楽など幅広く、目的の音楽を求めて突き進む筆者の行動力と旅のうまさにも圧倒されます。そうした音楽のレポートと、現地の食文化や人々についてのエッセイ的な要素がうまく絡み合い、グイグイ読ませるのです。
この本でもうひとつ重要なのは、欧米の音楽も聴き、クラブでDJもする筆者が、その批評の基準を崩すことなくインド音楽にも接し、紹介している点。それゆえに筆者の批評眼に信頼が湧き、インド音楽への興味が膨らむ1冊でした。
島本理生「リトル・バイ・リトル」(→amazon.co.jp)は、第25回野間文芸新人賞受賞作品の文庫本。
主人公の女性と恋人であるかどうか微妙な距離の男性、主人公の家族、そして主人公の習字の先生夫婦という複数の人間関係を通して物語は進みます。失ったものは戻ってこない、けれど――という想いを丁寧に描き出している作品です。
この島本理生作品にも、ひとつのファクターとして死が出てきました。
笙野頼子「一、二、三、死、今日を生きよう!――成田参拝」(→amazon.co.jp)は4編の短編からなる単行本。
論争の果てに言論を抑圧されたため、反権力にいくばしかの共感を持って成田へと行き、そして飼い猫の死を経て狂気を感じされるまでに特定の日に自分が死ぬと思い込み、さらには明治以降の宗教観、文学観を批判することで近代を相対化していく展開に圧倒されました。笙野頼子の言葉ですべてがつながり、すべてが論理を形成していく、その過程はダイナミックです。
近年の笙野頼子の作品の中でもかなりライヴ感が強く、狂度の高い1冊でした。
サラーム海上「プラネット・インディア インド・エキゾ音楽紀行」(→amazon.co.jp)購入。EL SUR RECORDSへ行ったらちょうどサラーム海上さんが店番中で、買ったら運良く付録CDをもらえました。
斉木弘吉「小倉優子1st.写真集 恋しくて優しくて」(→amazon.co.jp)を古本で購入。2001年に発売された、我々が手にすることのできる最古の写真集です。二重まぶたから目尻にかけて現在とは微妙に違う印象を受けるのは、彼女が垢抜けたということなのでしょう。
熊谷貫「亀井絵里写真集」(→amazon.co.jp)を古本で購入。2004年に発売された最初のソロ写真集です。
亀井絵里が可愛いのはもちろんのこと、光をつかまえるのがうまい熊谷貫の技術にも唸らされました。こんな風に写真が撮りたいものです。
福田和也「福田和也の『文章教室』」(→amazon.co.jp)は、書き方だけではなく、文章の読み方や調べ方に多くのページが割かれているのが特徴。「日本とは何か、日本人とは何か」なんて項目があるのは福田和也らしいですね。
メインである書き方については、昨今のブログの隆盛に苦言を呈しつつ、13のポイントを挙げています。そして福田和也のゼミ生のコラムの添削が掲載されているのですが、これがかなり辛辣。このコーナーにもっとページを割いても良かったのではないでしょうか。
調べ方については、確かに具体的で参考になるのですがあまりにも詳細すぎて、冗長という印象を受けました。
岡本真「これからホームページをつくる研究者のために ウェブから学術情報を発信する実践ガイド」(→amazon.co.jp)は、ACADEMIC RESOURCE GUIDEで研究者のサイトの紹介、批評を行なっている著者による単行本。
この本を読んでまず驚かされたのは、研究者がサイトを開設すると「ホームページなんかにかまけて」と同じ研究者に揶揄される現状があるという話です。この本は、そんな状況に置かれた研究者たちに対して、あえて完璧を目指すことをやめ、とりあえずできるところからサイトを作成していくことを提唱します。
どんなコンテンツをどんなスタイルで公開するかという問題について、この本は「基礎編」「応用編」「理想編」という3つを軸にしつつ、実際に開設されている研究者のサイトを270も紹介。あくまで研究者を対象とした内容ではあるものの、自分の持つコンテンツをインターネット上で公開して他者と情報共有したいすべての人にとって有益であると言えるでしょう。
また、終盤の「個人ホームページをつくる研究者のための10ヶ条」は、これまで幾度となく繰り返されてきたサイト運営を巡る論議に立脚しており、かつ妥当な内容です。この部分も研究者のみならず有益でしょう。
研究者のサイトには縁が薄い僕ですが、この本で知った「『テルコ・ビリチ』探索記」は非常に興味深いサイトであったことを付記しておきます。
「紺野あさ美 写真集全集『Sweet Days』」(→amazon.co.jp)購入。過去の4冊の写真集の未公開写真と、インタビューで構成された写真集です。DVD付き。
ついでに「アロハロ ! 紺野あさ美 DVD」(→amazon.co.jp)も買っておきました。
島本理生「シルエット」(→amazon.co.jp)、「リトル・バイ・リトル」(→amazon.co.jp)、「生まれる森」(→amazon.co.jp)、「一千一秒の日々」(→amazon.co.jp)購入。先日読んだ「ナラタージュ」(→amazon.co.jp)に激しく感情を揺り動かされて、他の作品もまとめて買ってみました。
渡邉恒雄「わが人生記 青春・政治・野球・大病」(→amazon.co.jp)は、共産党への入党と除名の体験、小泉首相への苦言、プロ野球についての意見、自分や妻の病気などについて、高い知性を感じさせる文章で綴った本。新書ゆえにいまひとつ語り尽くされていない後味を残しつつも、ナベツネならではの偏屈さが穏健な文体で表現されている印象です。老いた病妻への愛情について書いて締めくくっているのには構成の妙を感じました。
アスペクトの方から「裏グーグル Google秘密のテクニック大全」(→amazon.co.jp)をいただきました、ありがとうございます。執筆はエアロプレインさんほか。
Google検索と関連ツールの上級レベルまでの使い方を解説しているのはもちろんのこと、「Googleで動画・音楽ファイルを入手する」と題して、検索方法の奥義を具体的に解説しているのがこの本の特徴。さらに、入手したファイルをどう利用したらいいのかまでフォローしているのが親切だと思いました。
アスペクトの方から「彼のメガネ」(→amazon.co.jp)をいただきました、ありがとうございます。
最初こそピロスエさんなどのメガネ男子が登場する、フェティッシュ感に溢れたグラビアが続きますが、驚愕したのはこの本の後半の文字ページ。目が悪くなるメカニズムから始まり、メガネの選び方、歴史、ブランド紹介など、執念すら感じさせる密度でした。まいりました。
「オフィシャルファンブック 涼宮ハルヒの公式」(→amazon.co.jp)購入。
まず、冒頭のいとうのいぢの描いたピンナップで得をした気分になれました。そして各種雑誌などに掲載されたイラスト、キャラクター紹介、細部にまで言及した全話解説、スタッフや声優による座談会、トリビュート・イラスト(美樹本晴彦も!)、設定、用語集、関連グッズ紹介などで構成されています。クラスの座席表と各生徒の設定まで決められているのには驚きました。
SOS団こと平野綾、茅原実里、後藤邑子が武道館で踊ったとか、「サムデイ イン ザ レイン」の脚本は谷川流だったとか、今頃になって知りましたよ。
そして、監督の石原立也とシリーズ演出の山本寛の対談を読むと、「涼宮ハルヒの憂鬱」は現場をも巻き込んだ青春群像だったのだなと感じました。
発売が延期されていたものの、それに見合う読み応えがある本でした。
島本理生「ナラタージュ」(→amazon.co.jp)は、穏やかさと激しさが渦を巻くような作品でした。特に終盤の激しすぎるぐらいの展開には、眩暈に似た感覚すら覚えました。ところどころに感じる作品としてのいびつささえも、読者を引き込む方向へと機能しています。読むのが遅かったと後悔するほどの作品でした。
韓東賢「チマ・チョゴリ制服の民族誌 その誕生と朝鮮学校の女性たち」(→amazon.co.jp)は、チマ・チョゴリが朝鮮学校の制服となった歴史を研究し、そこへ至るまでの女性たちの自発性、主体性をインタビューなどを通して丁寧に考察した本。祖国への帰国運動が盛り上がっていた時代のナショナリズムの高揚感もインタビューからは伝わってきます。
以前、著者の韓さんと朝鮮学校について話したとき、いかに自分が朝鮮学校について無知であるかを痛感させられました。チマ・チョゴリが制服となっているのは女子のみであること、そして近年は第二制服としてブレザーなどが採用されていることもこの本で知ったことです。そうした僕にとっては、この本に記されている、女性たちがエスニック・アイデンティティの表現としてチマ・チョゴリを選択していく過程は非常に興味深いものでした。
そしてこの本が、チマ・チョゴリの研究を通して、朝鮮人らしく生きることへのひとつの問いかけとなっていることも清々しく感じました。
笙野頼子「絶叫師タコグルメと百人の『普通』の男」(→amazon.co.jp)は、幕開けと同時にいきなりメタ化と「評論家」への批評を強烈な勢いで展開していき、相変わらずの豪快さを体感できます。そして、ふと現れる寂寥感が物語の深みを増していました。笙野頼子の批評精神は最後の1ページに至るまで貫かれており、それが快感ですらあります。
谷川流「涼宮ハルヒの憤慨」(→amazon.co.jp)は、「涼宮ハルヒ」シリーズの8作目で現在のところ最新刊。2本のストーリーで構成されています。ここまでくると物語に大きな変化はなく、涼宮ハルヒや長門有希といったキャラクターの性格がやや外向きになってきている印象です。
谷川流「涼宮ハルヒの陰謀」(→amazon.co.jp)は「涼宮ハルヒ」シリーズの7作目。
この本は400ページ以上でひとつのストーリー。さすがに長かったです。最後の最後で年中行事が顔を出すのはこのシリーズらしいと思いました。
谷川流「涼宮ハルヒの動揺」(→amazon.co.jp)は「涼宮ハルヒ」シリーズの6作目。
「ライブアライブ」はここに収録されているのですが、原作では5曲を演奏していて、いかにアニメ版が2曲のみでうまく場面を盛り上げたかを実感しました。
谷川流「涼宮ハルヒの暴走」(→amazon.co.jp)は「涼宮ハルヒ」シリーズの5作目。3作品を軸にした作品集です。
「エンドレスエイト」には、ベタで恐縮ですが「うる星やつら」の「ビューティフル・ドリーマー」を連想しました。
そして「涼宮ハルヒ」シリーズは、徐々に変わっていくキャラクターたちの性格が今後のストーリーにどう影響していくのか期待させるものがあります。
谷川流「涼宮ハルヒの消失」(→amazon.co.jp)は「涼宮ハルヒ」シリーズの4作目。
こちらは1冊まとめてひとつのストーリーで、SF方面の本を素通りで生きてきた僕としてはかなり面白く読めました。キョンが中心で涼宮ハルヒの影が薄い話なので、映像化するのは難しいかなとも思いましたが、ぜひアニメ化してほしい作品です。
谷川流「涼宮ハルヒの退屈」(→amazon.co.jp)は「涼宮ハルヒ」シリーズの3作目。
アニメを見てから原作を読むと、あのテンポの良さを生み出すアニメのスタッフ陣のうまさを改めて感じます。「孤島症候群」はかなりエディットされているんですね。
「涼宮ハルヒ」シリーズの重要な作品と思われる「笹の葉ラプソディ」もここに収録されていました。
谷川流「涼宮ハルヒの溜息」(→amazon.co.jp)は「涼宮ハルヒ」シリーズの2作目。
学園祭のために映画を撮るという話なので、この1冊からあの「涼宮ハルヒの憂鬱 朝比奈ミクルの冒険 Episode00」(→amazon.co.jp)のようなインパクトのある第1話を生み出した京都アニメーションはすごいなぁと感心したのですが、それは勘違い。「涼宮ハルヒの憂鬱 朝比奈ミクルの冒険 Episode00」のストーリー自体は、6作目「涼宮ハルヒの動揺」(→amazon.co.jp
)に収録されていました。
橋本雅司「紺野あさ美写真集『See you again』」(→amazon.co.jp)購入。
14歳でモーニング娘。に加入した紺野あさ美も、もう19歳ですか。最初の写真集に比べれば衝撃こそ弱まりましたが、やはり紺野あさ美という素材は写真集で大きな存在感を発揮しています。
彼女の表情を真正面からアップで撮った写真の大きな黒目と、飛び跳ねているのであろう彼女の背中を大部分を空にした構図で撮った写真が印象的でした。
付録のDVDは約13分収録。
ぶんか社の方に、インリン・オブ・ジョイトイの写真集+DVD「M cacumei!!革命」(→amazon.co.jp)、DVD「非武装地帯」(→amazon.co.jp
)、写真集「ミールのM」(→amazon.co.jp
)をいただきました! 我が家のインリン・オブ・ジョイトイ濃度がすごい状態になっています。
その中でも、「インリン・オブ・ジョイトイの日記:私の作品ではない!★×1000」で話題を呼んでいるのが「M cacumei!!革命」。本来のターゲットではない男の感想で恐縮ですが、「全裸になったほうが早いんじゃない?」と思うほどの露出度のインリンの写真はもちろん、生い立ちから音楽活動まで語ったロング・インタビュー、そして女性誌風のメイク講座など、内容は充実している印象を受けました。DVDは、予告編も含め4つのクリップを収録。鳥肌実も出演していて驚きました。
「キヤノンEOSデジタルRAW現像マスターブック―DPPの使い方」(→amazon.co.jp)購入。
キヤノン EOS KissデジタルN(→amazon.co.jp)を買って以来、写真はJPEGとRAWの両方で記録しているのですが、RAWはデータサイズが大きいので、恐ろしい勢いでハードディスクの容量を食っていきます。そのわりにはさっぱりRAWを活用していないので、この本を買って勉強してみることにしました。
宮崎吐夢「今度も店じまい今夜で店じまい 2nd SEASON」(→amazon.co.jp)は本とDVDとCDのセット。明らかに盛りこみすぎです。
CDでは、イヌイット、ホーミー、テクノ、ボサノヴァ、フォーク、校歌、ガムラン、アシッドなどをデタラメにミックスしたサウンドに、あまりにもくだらない歌詞をのせて歌っています。最高。
特に、昔のPrinceをも連想させる超ファンキー・チューン「Black Unko」「Tabasco Unko」、ハードなテクノの「僕たちの邪馬台国論争」が素晴らしいです。そして「今夜で店じまいのテーマ」は、やはりどう聴いてもピチカート・ファイヴの「東京は夜の七時」のパクリ。しかしなぜか爽快なのです。
DVDには、コント21本を収録。冗長に感じられるコントもあったぶん、あまりにもひどい下ネタが連発される「舌禍事件」「舌禍事件2」が面白く感じられました。というか爆笑しました。
おまけとして、DVDにはあの名作「ペリーのお願い」も収録されています。
妻と原宿から表参道まで歩きながら買い物。遅まきながら、表参道ヒルズにも初めて足を運びました。
そしてNadiffで新津保建秀「記憶」(→amazon.co.jp)購入。戸田恵梨香、香椎由宇、hanae*、宮崎あおいをモデルにした写真集です。実際には経験したこともないような、せつなくて物憂げな記憶を新津保建秀と共有させられてしまう作品でした。
ほしよりこ「きょうの猫村さん」第2巻湯けむりバージョン(→amazon.co.jp)「きょうの猫村さん」第2巻通常版(→amazon.co.jp
)、宮崎吐夢「今度も店じまい今夜で店じまい 2nd SEASON」(→amazon.co.jp
)購入。
「きょうの猫村さん」は、最初湯けむりバージョンが見つからなくて諦めたのですが、近所の本屋にありました。そんなわけで、通常版と両方揃うことに。湯けむりバージョンは、せっけんと手ぬぐいがセットです。
宮崎吐夢「今度も店じまい」は、本とDVDとCDのセット。明らかに盛りこみすぎです。
韓東賢「チマ・チョゴリ制服の民族誌 その誕生と朝鮮学校の女性たち」(→amazon.co.jp)、笙野頼子「絶叫師タコグルメと百人の『普通』の男」(→amazon.co.jp
)、福島聡「機動旅団八福神」第4巻(→amazon.co.jp
)、新井英樹「キーチ!!」第9巻(→amazon.co.jp
)購入。
久保田麻琴「世界の音を訪ねる 音の錬金術師の旅日記」(→amazon.co.jp)、福満しげゆき「10年たって彼らはまた何故ここにいるのか…」、浅野いにお「ソラニン」第2巻(→amazon.co.jp
)、小田扉「団地ともお」第7巻(→amazon.co.jp
)購入。
福満しげゆき「10年たって彼らはまた何故ここにいるのか…」は、幻堂出版から500部限定で出版された単行本です。

東京新聞に「言葉の難しさ分かった4年 綿矢りささん(作家)」と題した綿矢りさのインタビュー記事が掲載されていることを都市色さんに教えていただきました。いい表情の写真ですね。
コンサート・スタッフのアルバイトをしていたという話はすでに他の記事で紹介されていましたが、浜崎あゆみのコンサート・スタッフだったそうです。
昨年の文庫本「インストール」(→amazon.co.jp)に収録されていた「You can keep it」に続く新作の執筆は難航中だとか。しかし、早稲田大学卒業後は執筆活動に専念するそうなので、新作を楽しみに待ちたいと思います。
高橋良輔「誰でも今日から楽しめる! デジタル一眼レフ基本テクニック入門」(→amazon.co.jp)購入。とにかく今は基礎を学びたいのです。
絞り、シャッタースピード、露出、ISO感度などの基礎知識の解説もありますが、この本のポイントは、撮影例とそこで使われたテクニックの解説に多くのページが割かれている点。特に測光について勉強になりました。また、カメラやレンズのメンテナンスについての解説も参考になります。
発売が2005年1月で、登場するカメラはNikon D70なのですが、それでも得るものが多い本でした。
長野陽一「島々」(→amazon.co.jp)購入。タイトルの通り、北海道から沖縄まで65の島々を巡って撮影し、2004年に発売された写真集です。
島々での春夏秋冬、行事と日常、そして老若男女。日本ではないかのような日本がここには記録されています。しかし、長野陽一はそうした土地の特殊性には依存しておらず、そこに息づく人々の生活を見事に記録している点に感銘を受けました。
キットタケナガ「デジタル『写真の学校』」(→amazon.co.jp)購入。キヤノン EOS Kiss デジタルN(→amazon.co.jp
)を買ったわけですが、自分の変な思いこみや癖で写真を撮るのではなく、まず写真撮影のための基礎体力をつけておきたいと思い、この「デジタル『写真の学校』」を買ってみました。
「デジタル『写真の学校』」 の本格的なところは、デジタルカメラの歴史から語られているところですね。そして、絞り、シャッタースピード、適正露出といった基本的な部分から、実際の撮影のポイント、レタッチの方法まで解説されていて勉強になります。また、構図や自然風景を写す場合に「三悪」というのが存在するという話が面白かったです。
ただ、「取り説」「コンデジ」「眼デジ」といった略称が注釈もなく使われているのは不親切だと思いました。
「アロハロ!紺野あさ美写真集」(→amazon.co.jp)購入。
紺野あさ美は、前作「なつふく」(→amazon.co.jp)よりもアイラインと腹筋の印象がかなり強くなりました。「なつふく」での鮮烈さが薄れたのは残念です。
しかし西田幸樹による撮影は、彼女の静と動を様々な角度から捉えていて、そうした点を埋め合わせるのに充分でした。
絲山秋子「沖で待つ」(→amazon.co.jp)は、芥川賞受賞作の表題作を含む2編を収録。
「勤労感謝の日」の主人公は、36歳で無職で独身の女性。そして自意識が強くて、いかにも日本の現代文学という印象の物語でした。
「沖で待つ」は、男女の同僚が、先に死んだ方が相手のパソコンのハードディスクを壊す約束をする物語。主人公の女性が、同僚が死んで実際にハードディスクを壊す際に、相手の奥さんにほとんど後ろめたさを感じていない点が腑に落ちませんでした。
「フローレス・セイコ - しょこたん☆ぶろぐ」によると、あの中川翔子さんもお母様が買ってきたという青木あざみさんの著書「まっすぐに。」(→amazon.co.jp)を読んでいるそうです。しかも特番もしっかりチェックしているとか。まなむさんに教えていただいて知りました。
また、「the end of youth | 『まっすぐに。』重版御礼」によると、「まっすぐに。」の重版がすでに決定したそうです。日本の大家族シーンに生み落とされたバイブルだけに、多くの人に読んでいただきたいですね。
ちなみに、とかげさんが担当された「Hello! Project 2006 Winter 全員集GO! 完全保存版スーパーレビュー」(→amazon.co.jp)も初動が良いとか。こちらもぜひどうぞ。
青木あざみ「まっすぐに。」(→amazon.co.jp)を昼休みに購入、一気に読み終えました。
断言します、この「まっすぐに。」は日本の大家族シーンに産み落とされた聖書(バイブル)です。
まず驚くべきは、これまでテレビでは紹介されてこなかった青木あざみさんの過去です(この文章は「金スペ! 激闘大家族!青木家完全密着1317日ママになった17歳長女あざみが結婚!?」の放送前に書いています)。彼女が生まれた当時、なんと家族はトラックに住んでいて、幼い頃の青木あざみさんは児童養護施設に預けられていたというのです。それなのにその後も妹や弟は生まれ、しかも家で育てられ、青木あざみさんだけが児童養護施設で暮らしていたといいます。
そして家に戻った青木あざみさんを待っていたものは、母親の虐待と家事放棄。自殺未遂すらしたというそんな環境の中で、妹や弟たちとの関係も微妙なものがあったと述懐されています。子供を児童養護施設に預けてるなら両親は避妊しろよとか、お父さんは実は哀川翔のファンなのかよとか、そういう細かい点に突っこんでいる暇もないようなエピソードの連続なのです。お母さんが失踪したとき、青木あざみさんはむしろ安心してしまったとか。そして、その頃から「激闘大家族!」シリーズの取材と放映が始まります。
この本を読む限り、青木あざみさんはどう考えても重度のファザコンなのですが、それも必然だったと思えてなりません。また、青木あざみさんの根っからのヤンキー体質も露に。そして、多くの人が気になっいているであろう、彼女の過去の恋愛と妊娠についても率直に語られています。
テレビで紹介されるとなるとどうしてもエピソードが美化されがちですが、しかしこの「まっすぐに。」は、青木あざみさんのヘヴィな過去を赤裸々に描きつつ、それでも将来への希望を感じさせてくれる好著です。冒頭に青木あざみさんのグラビアがあったり、独特の表記による日記の紹介があったり、過去の写真が掲載されていたりと、ツボを押さえた編集にも好感を持ちました。
現在の日本社会では階層化が進んでいます。だからこそ、「激闘大家族!」での青木家を見て「うわ、DQN(ドキュン)」といった感想を持つ人にこそ、異なるトライブの人の生き様を直視するためにこの「まっすぐに。」を読んでもらいたいです。インターネット上の噂に関する彼女の感想も掲載されています。たった17年の人生で、これだけ読み応えのある本はそうそう生み出せません。
最後にもう一度。青木あざみ「まっすぐに。」は、日本の大家族シーンに産み落とされた聖書(バイブル)です。必読。
本日3月10日に青木家特番「金スペ! 激闘大家族!青木家完全密着1317日ママになった17歳長女あざみが結婚!?」が放映されるのですが(詳しくは「次回の青木家特番『激闘大家族!』はなんと2週連続放送」をご覧ください)、なんともう一発隠し玉が待っていました。
それはなんと、17歳の長女・青木あざみさんの著書「まっすぐに。」(→amazon.co.jp)が発売されることなのです。「the end of youth | 大家族あざみちゃんの本」で知ったのですが、Amazon.co.jpによるとすでに24時間以内に発送スタンバイ状態。うーん、やってくれるぜ竹書房!
竹書房の公式サイトの詳細ページから引用させていただきます。
TBS系列TVで大反響!! 母親代わりの少女が真の母となる――。大家族(3男4女1父1娘)・青木家の長女、波乱万丈の全半生! 「出産の秘密」「児童養護施設での生活」「相手の男性」…今まで明かさなかったホントの私、17歳のリアル。
児童養護施設での生活ってなんだよ……!?
というわけで、思わぬメディアミックスに動揺を隠せないまま、今夜の番組を刮目して見ようと思います。
梅田望夫「ウェブ進化論」(→amazon.co.jp)は、シリコンバレー的なオプティミズムに貫かれている本です。圧倒されるぐらいに。
オープソースやマス・コラボレーションとチープ革命の重要性、それをもとに誕生したGoogleという組織の斬新さ、そしてロングテールやAPIといったWeb2.0など、近年のインターネットの流れを的確にまとめて解説していて面白く読めました。
ただ気になったのは、ブログに不特定多数無限大が参加すると衆愚になるのではないかという意見に反論している部分。そこの部分だけ他のブログの引用をして終わっている点に歯切れの悪さを感じました。ここは極めて重要な部分だけに、梅田望夫自身の言葉を費やしてほしかったです。
インターネットは人の幸不幸を左右するものというよりは、最初から幸せになれる資質の人はより幸せにして、不幸になる資質の人はより不幸にする、いわば加速装置のようなものだと思います。離れていた人と人を繋ぎあわせ、コミュニケーションの密度を上げ、その結果をより早く、より大きな形で表出する。そんな光景をこの10年で何度も見てきました。
森健「インターネットは『僕ら』を幸せにしたか?」(→amazon.co.jp)は、タイトルには「インターネット」を冠しており、実際にメール、検索エンジン、ブログなどについても触れていますが、もっとも多くのページを割いて言及しているのは、ICタグ、ICカード、監視カメラ、バイオメトリクスなどを用いた広い意味でのネットワークについてです。その点でタイトルと内容には若干の違和感を持ちました。しかし、かつて想像されていたような権力による監視社会といった単純な図式ではなく、現在では企業や市民の要望による監視社会が形成されつつあると指摘する内容は非常に説得力があります。
また、それ以上に興味深かったのは、民主主義的であると言われるインターネットの言論が、スモールワールドやパーソナリゼーションによって生み出されるサイバーカスケードにより、扇動的で衆愚的なものになりうることについての指摘でした。その可能性は、現在のインターネットの状況を眺めていても否定できないものがります。
インターネットにしろネットワークにしろ、それはあくまで触媒であって、結局のところ人間の幸不幸を左右するのは人間自身にほかならない。そんなことを改めて考えさせられた本でした。
梅田望夫「ウェブ進化論」(→amazon.co.jp)、絲山秋子「沖で待つ」(→amazon.co.jp
)、漆原友紀「蟲師」第7巻(→amazon.co.jp
)、「PHaT PHOTO」3-4月号購入。例によって「PHaT PHOTO」はまだ前号を読み終えていません……。

豊田正義「消された一家―北九州・連続監禁殺人事件」(→amazon.co.jp)は、計7人の犠牲者を出した監禁殺人事件を追ったノンフィクション。松永太が通電などの暴力を駆使することによって、妻である緒方純子の家族を監禁し、妻が夫の、夫が妻の、子供が親の殺害や死体の解体に関わるように追いこんでいった異常な事件の過程が描かれています。
繰り返される通電によって正常な思考能力を失い、松永の操るままにされていく緒方家の人々。彼らはやがて家族の中でも争うようになり、その結果次々と殺されていきます。松永につけこまれる隙が緒方家にあったとも言えますが、その程度の問題はどこの家庭にもあると思われるだけに、よりこの事件は恐ろしく感じられるのです。
DVについての著書「DV - 殴らずにはいられない男たち」(→amazon.co.jp)もある豊田正義は、松永が抑圧者であり、緒方が被抑圧者であるという支配関係に着目し、両被告への死刑判決にそうした観点がないことを指摘します。そして、緒方がしだいに人間性を取り戻し、極刑も覚悟の上で供述を始めたのに対して、まったく反省の色を見せない松永の内面が見えてこないとも述べるのです。
子供から老人まで、人間を極限状態に置いて弄び、次々と殺していった異常な犯罪。その概要を把握できる本です。
綿矢りさの最新インタビューと画像を掲載した「芥川賞受賞後初の書き下ろし『You can keep it.』を上梓 綿矢 りささん」という記事が早稲田ウィークリーで公開されました。
コンサートのスタッフなどのアルバイトもした。
そんなコンサートへ行きたかった……!
卒論は、以前から好きだと語っていた太宰治の「走れメロス」の物語の構造についてだとか。この記事を読む限りでは、卒業後は作家活動に専念するようで、執筆中だという次回作が楽しみです。
ライブドアが発表した「強制捜査を受け、今後のポータルサイト『livedoor』の運営に関して」なんてどうでもいいんです。それよりも、ライブドアオート開店CMが放映打ち切りになってしまうなんて……!
ところでこのライブドア騒動は、ライブドアと幻冬舎の合資会社であるライブドアパブリッシングから本を出版している作家にも思わぬ影響を与えているようです。
その状況を愛をめぐる奇妙な告白のためのブログで紹介しているのが、「愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ」(→amazon.co.jp)の作者である琴音さん。「疲労しています…」や「『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』を愛してくださる方々へ」といったエントリーを読むとかなり大変そうです。
「愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ」は、読売新聞社・清水建設主催、新潮社後援の「第17回ファンタジーノベル大賞」で優秀賞を受賞したものの辞退して、ライブドアパブリッシングから出版することを選んだ本なのだとか。ブログではそうなった経緯を紹介しているのですが、担当編集者の「K氏」やさきっちょさんが登場するその内容はかなり面白いです。
実はこの「愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ」を、僕は「ノーディスク・ミュージックガイド iTunes Music Storeですぐ聞ける1000曲案内」(→amazon.co.jp)と一緒に「K氏」から送っていただいてるんですよね。まだ読んでいないのですが、そのお詫びを兼ねてここで取り急ぎ紹介させていただこうと思います。
関連エントリー:群がる報道陣の前にホリエモンは回転しながら現れるべきだった、「ノーディスク・ミュージックガイド iTunes Music Storeですぐ聞ける1000曲案内」
「ノーディスク・ミュージックガイド iTunes Music Storeですぐ聞ける1000曲案内」(→amazon.co.jp)は、様々な人々がそれぞれのテーマのもとiTunes Music Store
で入手できるおすすめの10曲を挙げている本。まだまだカタログが充分とはいえない状況の中で、それぞれに工夫を凝らしたベスト10をリストアップしています。
その中でも特に面白かったテーマと選曲は、まず本田透の「モテない」。本当にモテなさそう。ライムスターの宇多丸による「フロア対応J-POP」もユニークです。本当にフロアで使えそう。そしてユタカワサキによる「無音」。本当に無音そう、というか実際にほとんど無音なのか。
人選で意外性があったのは、藤田志穂(sifow)と一青窈でした。そういう意味では、同じ人がいくつかのテーマを担当している部分もありましたが、もっと幅広く執筆者を起用するとより面白くなったのではないかと思いました。
それにしても、香椎由宇を起用した表紙やグラビアはキュートです。
枡野浩一「あるきかたがただしくない」(→amazon.co.jp)は、「週刊朝日」での連載などを集めたエッセイ集。
帯に「男が離婚を語ってはいけませんか?」とあるように、彼の離婚、というより彼の元妻が裁判所での約束に反して子供に会わせてくれないことについての話題が非常に多い本です。しかし、それほどプライベートで重い問題を抱えていて、なおかつその話題に繰り返し触れているのに、エッセイとして読ませるためのクオリティは常に保っており、しっかり枡野浩一の「芸」を感じさせる点に感心させられます。
その一方で、この本のタイトルを冠したエッセイ「歩き方が正しくない」は淡々と日常を記していて、結果として不器用なまでに実直な彼の性格が表れている文章です。このエッセイ「歩き方が正しくない」と本書のタイトル「あるきかたがただしくない」を併せて考えたとき、枡野浩一が抱える苦悩を垣間見た気分になりました。
登場人物の紹介があったり、佐藤ゆうこや河井克夫のマンガがあったり、むらやまじゅんや長嶋有との対談があったりと1冊の中でも工夫が凝らされており、あとがきにある「仲間にも恵まれている」という一節もよく理解できる内容です。そしてそこに本書の救いを感じました。