小心者の杖日記

2008年05月09日

綿矢りさ、The Beach Boysを語る

 綿矢りさが読売新聞で書評を担当しているそうで、4月7日の「ペット・サウンズ」ではThe Beach Boysについて語っており、衝撃で卒倒しそうになりました。なんと綿矢りさはThe Beach Boysの「Pet Sounds」(→amazon.co.jp)を聴いたことがあり、それは村上春樹の影響だったそうです。

 読売新聞での綿矢りさの書評は今年から始まったようで、1月15日の「失われた時を求めて 第1巻」、2月12日の「きみを想う夜空に」、3月17日の「やっぱり危ないタミフル」もオンラインで公開されています。


ジム・フジーリ「ペット・サウンズ」

The Beach Boys「Pet Sounds」

綿矢りさ「夢を与える」

2008年04月02日

加藤千恵、高橋脩

 加藤千恵短歌、タクマクニヒロ写真「放課後―写真短歌部」(→amazon.co.jp)、高橋脩漫画、GAINAX・カラー原作「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」第5巻(→amazon.co.jp)購入。


加藤千恵短歌、タクマクニヒロ写真「放課後―写真短歌部」

高橋脩漫画、GAINAX・カラー原作「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」第5巻

2008年03月07日

「ロマンアルバム 電脳コイル」

 「ロマンアルバム 電脳コイル」(→amazon.co.jp)購入。


「ロマンアルバム 電脳コイル」

2008年02月08日

「菅谷梨沙子写真集 Ring3〜リンリンリンッ!〜 」

 川田洋司撮影「菅谷梨沙子写真集 Ring3〜リンリンリンッ!〜 」→amazon.co.jp)購入。


川田洋司撮影「菅谷梨沙子写真集 Ring3〜リンリンリンッ!〜 」

2008年02月04日

藤井誠二「学校は死に場所じゃない―マンガ『ライフ』で読み解くいじめのリアル」

 藤井誠二「学校は死に場所じゃない―マンガ『ライフ』で読み解くいじめのリアル」(→amazon.co.jp)は、ノンフィクションライターがすえのぶけいこのマンガ「ライフ」を通していじめについて書いた書籍。

 ふりがなの多さや敬体で、一読してこの本が若い読者に向けて書かれていることがわかります。携帯電話、ブログ、「学校裏サイト」と呼ばれる掲示板などが存在するために、学校という場の同調圧力から24時間逃げられない現状を指摘し、ときに「ライフ」のリアルさと現実との違いについても言及しつつ、藤井誠二は学校は「通過すればよい」と明確なメッセージを発しています。

 「学校にクラスや固定席はいらない」「すべての学校にソーシャルワーカーを」といった提言を盛り込みつつ、相談を誰にすればいいのかも具体的にアドバイスしており、単なる「ライフ」の便乗本ではない重みがありました。少年事件のルポタージュを書き続けている藤井誠二らしい内容です。

 名越康文、宮台真司との対談も収録。ただ、前述のような本書の性格を考えると、宮台真司の発言はやや難解でバランスを悪くしているようにも感じました。


藤井誠二「学校は死に場所じゃない―マンガ『ライフ』で読み解くいじめのリアル」

[ 書籍 ]

2008年01月08日

鈴木謙介「ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか」

 鈴木謙介「ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか」(→amazon.co.jp)は、社会学者が情報化社会を考察した書籍。

 テクノロジーが発達し、ユビキタス化、ヴァーチャル化が進む状況の中では、自分に関する情報が偏在するようになり、人間の行動をも決定づけることになる、というテーマを掲げています。インターネットを含む現在のIT技術の根幹が、ヒッピー・カルチャーに影響を受けているという指摘は、近年では忘れられがちですが重要な指摘です。また、宿命と人間の関係を考える際に、古谷実の「ヒミズ」を例に挙げるというアクロバティックな展開は面白かったです。

 ただ、副題の「〈遍在する私〉をどう生きるか」というような具体的な未来像の提示に関しては、セカイ系などを引き合いに出してもなお物足りなく、残念に感じました。


鈴木謙介「ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか」

[ 書籍 ]

2007年12月31日

浅野いにお、柏木ハルコ、笙野頼子

 浅野いにお「おやすみプンプン」第2巻(→amazon.co.jp)、柏木ハルコ「地平線でダンス」第3巻(→amazon.co.jp)、笙野頼子「萌神分魂譜」(→amazon.co.jp)購入。


浅野いにお「おやすみプンプン」第2巻

柏木ハルコ「地平線でダンス」第3巻

笙野頼子「萌神分魂譜」

2007年12月10日

吉田アミ「サマースプリング」

 吉田アミ「サマースプリング」(→amazon.co.jp)は、ミュージシャン、文筆家として活動する著者の初の単行本。編集は郡淳一郎と木村カナが担当しています。

 吉田アミの単著の発売がアナウンスされてから実際に発売されるまで、いったいどういう内容なのか僕は知らずにいたのですが、購入してみるとそこには「ノンフィクション」という文字が。主人公も「吉田亜美」であり、彼女の中学生1年生の春から夏の日々を描いた作品でした。

 そして、読み進めているときの感想を正直に記すならば、それは強烈な困惑でした。気の触れた「ハハ」と「ソボ」と同居する絶望的な生活、友人や教師との関係が生み出す自意識のねじれ。凶悪なまでに生々しい記録です。

 あとがきで吉田アミは、「この原稿は誰にも見せたくないくらい嫌なのだ」と述べ、そしてそれを公表する理由と、現在から見た当時の自分への感想を記しています。本編を通読した後に読んだこのあとがきは、ある種の達観を含むがゆえに、何かの深淵を覗いたかのような気分になるものでした。彼女の次の著作には、このあとがきの感覚の作品への濃厚な反映を期待したいです。


吉田アミ「サマースプリング」

[ 書籍 ]

2007年11月30日

安藤健二「封印作品の闇 キャンディ・キャンディからオバQまで」

 安藤健二「封印作品の闇 キャンディ・キャンディからオバQまで」(→amazon.co.jp)は、「封印作品の謎2」を改題、加筆・修正、新編集した文庫。

 「封印作品の謎2」については、「2007年にほとんど封印されている『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』を求めて」でもご紹介しましたが、文庫版のために書き下ろされた第5章では、遂に決定的と思われる理由を、小学館の元幹部からの証言を元に記しています。僕も「サイゾー」で「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」の絶版問題を扱った際には、藤子プロや小学館のあまりの防壁の高さに驚かされたものですが(ちなみに本書の319ページに出てくる『ある雑誌記者』とは僕のことです)、遂に安藤健二は裏を取ることに成功したわけです。核心部分を書いたこと自体もリスキーな行為なだけに、この新章には敬意すら感じました。「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」ファンは必読です。

 本書で扱われている作品は、前述の「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」のほか、「キャンディ・キャンディ」「サンダーマスク」「ジャングル黒べえ」。通読して感じるのは、ジャーナリストとしての安藤健二の探究心の強さです。「キャンディ・キャンディ」については漫画原作システムの抱える問題点を竹熊健太郎に聞き、「ジャングル黒べえ」については黒人差別の当事者側にいるオスマン・サンコンに意見を求めています。必ずしもすべての作品の封印の謎は解けていないものの、それでも読後に不満が残らないのは、こうした取材の厚みによるものでしょう。それは結果的に、単なる金銭問題にとどまらない、サブカルチャーをとりまくビジネスの問題を浮き彫りにしています。

 文庫化にあたり、引用図版が一気に増え、資料性が増した点も嬉しかったです。


安藤健二「封印作品の闇 キャンディ・キャンディからオバQまで」

[ 書籍 ]

2007年11月29日

直枝政広、kashmir

 直枝政広「宇宙の柳、たましいの下着」(→amazon.co.jp)、kashmir「○本の住人」第2巻(→amazon.co.jp)購入。

 直枝政広「宇宙の柳、たましいの下着」は、4曲の未発表音源を収録したCD付き。


直枝政広「宇宙の柳、たましいの下着」

kashmir「○本の住人」第2巻

2007年11月24日

玉川博章、名藤多香子、小林 義寛、岡井崇之、東園子、辻泉「それぞれのファン研究 I am a fan」

 玉川博章、名藤多香子、小林義寛、岡井崇之、東園子辻泉「それぞれのファン研究 I am a fan」(→amazon.co.jp)は、ファン行為を社会学の視点から考察した論文集。

 この本で最も刺激的なのは、辻泉によるジャニーズのファンの考察です。ここではファンの間に出回る怪文書に注目して、裏情報の流通や他者攻撃のために利用されてきた怪文書というメディアと、ファンのメンタリティを研究しています。そもそも僕はこうした怪文書の存在自体を知りませんでした。現物の写真もあるのですが、かなり恐いです。

 玉川博章は、コミックマーケットのスタッフに着目し、ファン行為そのものよりもコミックマーケットというファンダムの場の形成に注力する人々を取材。名藤多香子は、「やおい」や「腐女子」と形容される女性による二次創作について、そうした文化を語ると内部からのバッシングを受ける可能性を指摘し、彼女自身も非常に慎重な筆運びをしています。小林義寛はエロゲーとパソコンの進化の歴史を記しているのですが、それはそのままひとつの個人史になっていて読み応えがありました。岡井崇之は格闘技について、プロレスのファンは物語消費、総合格闘技のファンはデータベース的消費という指摘をしているのが興味深いです。東園子は宝塚の文化を論じていますが、ファン行為への言及はやや物足りなく感じました。

 雑誌の表紙の画像も参考資料として掲載されていますが、画質が荒かったり、不自然に人物を黒く塗りつぶしていたりするのは残念。これなら掲載する必要がないのではないでしょうか。


玉川博章、名藤多香子、小林 義寛、岡井崇之、東園子、辻泉「それぞれのファン研究 I am a fan」

[ 書籍 ]

2007年11月21日

くらもちふさこ、ゴージャス宝田、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 ENTRY FILE 1」

 くらもちふさこ「駅から5分」第1巻(→amazon.co.jp)、ゴージャス宝田「絶体絶命教室」(→amazon.co.jp)、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 ENTRY FILE 1」(→amazon.co.jp)購入。


くらもちふさこ「駅から5分」第1巻

ゴージャス宝田「絶体絶命教室」

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 ENTRY FILE 1」

2007年11月17日

島本理生、梅田望夫

 島本理生「クローバー」(→amazon.co.jp)、梅田望夫「ウェブ時代をゆく―いかに働き、いかに学ぶか」(→amazon.co.jp)購入。


島本理生「クローバー」

梅田望夫「ウェブ時代をゆく―いかに働き、いかに学ぶか」

[ 書籍 ]

2007年11月05日

玉置勉強、笙野頼子

 玉置勉強「ねくろまねすく」第1巻(→amazon.co.jp)、笙野頼子「だいにっほん、ろんちくおげれつ記」(→amazon.co.jp)購入。


玉置勉強「ねくろまねすく」第1巻

笙野頼子「だいにっほん、ろんちくおげれつ記」

2007年10月29日

青木あざみ「いつも。」11月2日発売

 日本の大家族シーンに衝撃を与えた青木家。その青木あざみさんの2冊目の著書「いつも。」(→amazon.co.jp)が、11月2日に竹書房から発売されます。竹書房さんのご厚意で先週ゲラをいただいて拝読したのですが、第2児・かなみちゃんの誕生の経緯も含め、まさにテレビ放送終了後の青木家について綴られた内容です。詳しい内容については、また別の場所でご紹介させていただきます。

 また、あとがきを書いているのはお父さんの青木信義さんなのですが、約20ページに及ぶ濃い内容。これを読むためだけにでも「いつも。」を買う価値はあると思います。
 

青木あざみ「いつも。」ゲラ


青木あざみ「いつも。」

2007年10月19日

樋口ヒロユキ「死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学」

 樋口ヒロユキ「死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学」(→amazon.co.jp)は、ゴシック・ロリータとその周辺文化についての書籍。

 混同されがちですが、ゴシック・ロリータ(ゴスロリ)、ゴシック、ロリータはそれぞれ概念が異なるもの。そのことを著者はまず明確にしつつ、ゴシック文化の背景を解き明かしていきます。納得させられたのは、ゴシックが建築、文学などのアートの文脈から派生しながら現在では別の次元にある文化だということ。ゴシックの起源を、ゴシック建築にまで立ち返り、具体例を挙げながら解説していきます。

 そして、人形、SM、寺山修司、グロテスクという周辺文化もレポート。この中でも特に興味深かったのは、まず一般的には単純に右翼のイメージが強い三島由紀夫についてSMの章で触れ、彼の天皇への強烈なマゾヒズムを指摘している点です。僕自身の三島由紀夫についての認識を大きく変えるのに充分な説得力がありました。

 また、面白いのが、1998年に青森市内で開催された天井桟敷再結成公演「人力飛行機ソロモン」のレポート。市内を劇場として、観客をも演劇を構成する一部として巻き込み、虚構と現実が侵食しあうメタ構造の「演劇」のユニークさがリアルに伝わってきます。

 そして、本書のひとつの目玉というべきなのが「秘密結社★少女椿団」の結成までの経緯。丸尾末広のマンガを原作にして、原田浩がひとりで1時間弱の作品の原画を制作したアニメ「少女椿」は、その内容などから国内での上映が禁止されてしまいます。それをなんとか再上映するために、樋口ヒロユキが奮闘し、最終的に300人になった「秘密結社★少女椿団」を前に上映するまでのドキュメンタリー。業の深い作品を上映するために因果な人々が集まる過程を描いた痛快な物語です。

 一点だけ気になったのは、オタクとゴスロリとの関係を語るときに、やおいがゴスロリ中心のもののようにも読めてしまう点で、こうしたオタク文化への目配せはやや甘い気がしました。

 とはいえ、研究のみならず数多くの「フィールド・ワーク」が記録された本書は、ゴシック・ロリータとその周辺文化を鮮やかに浮き彫りにする本として非常に読み応えがあります。当たり前のことですが、よくわからないことについて丁寧に、そしていきいきと解説してくれる本ほど面白いものです。

 「俺」「連中」といった荒っぽい言葉を使いつつも、全体として美文で綴られている点も特筆したいです。

 そして、本書を貫いているのは、聖なるものを汚すことによってこそ、より高い聖性を享受できるという視点。善なるものに挑戦することによってより真実に近づけるという姿勢に貫かれた本書は、極めて同時代的かつ挑発的な内容でした。


樋口ヒロユキ「死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学」

[ 書籍 ]

2007年10月09日

熊谷貫「菅谷梨沙子最新写真集『pure+』」

 熊谷貫「菅谷梨沙子最新写真集『pure+』」(→amazon.co.jp)は、Berryz工房の菅谷梨沙子の2冊目の写真集。

 彼女ほどの美少女でも、2冊目となると最初の写真集ほどインパクトがなくなるのは仕方ないところです。しかし、北海道と沖縄で撮影されたこの写真集には、笑顔だけではなく憂いを感じさせる写真が多く収録されているのが特徴。

 特に、白い光が当たる窓辺で白い服を着て人形のように美しい横顔を見せている写真や、黒いタンクトップに白いシャツを羽織って大人っぽい視線をカメラに向ける見開き2枚の写真に強烈な魅力を感じました。

 廃車となったバスの中に立つ姿も、菅谷梨沙子の非凡な美しさを浮き上がらせています。


熊谷貫「菅谷梨沙子最新写真集『pure+』」(DVD付)