小心者の杖日記

2009年8月 2日

amU@渋谷タンジェリン

 amUのファースト・ソロ・イベント「popcorn.Q」のため渋谷タンジェリンへ。

 会場に着くと、ラウンジにはこれまでのamUの衣装や靴などが展示されていて、会場内に置かれていたものも含めて12着。さらに今回のイベントのために用意された「Q」というボードが何ヶ所にも飾られ、トイレの中にまであって驚きました。そして、イベントのタイトルにひっかけて用意されたのであろうポップコーン製造機からは甘い香りが。どれだけ金をかけてるんだよ、無茶しやがって……。


「Q」のボード

過去の衣装


 入場時に渡されたのは、レア音源CD、封書に入ったなんと手書きの手紙、すべてmeruちゃんが手作りしたという缶バッジとその説明書、チラシ「amU times」、アンケートなど。しかも、CDの盤面は触れると文字の部分が盛りあがっているのです。どこまで凝り性なのでしょう。

 新衣装で登場したamUがこの記念すべきライヴの幕開けに歌ったのは、そのレア音源CDに収録された、このイベントのための新曲「popcorn.Q」。途中でヴォーカルにコブシみたいなエフェクトをかけているのがユニークです。「グレック・グレック」での興奮は気が触れる寸前のレベル。

 そして4曲歌ったところで、小道具がステージに乗せられて「amU研究所」なる施設を舞台にした寸劇に。豚のマスクをかぶった博士が登場して客いじりをした後、amUが「amU Planet」のメンバーを紹介。Codi星に;願いを、guchiko、フクヤマヒロキ、そしてacoとmeruがそのメンバーとして紹介されました。

 ここで10分程度の休憩を挟んで後半へ。「カプセルガール」のMIXもブチ切れるぐらいのテンションで打ちました。

 そしてacoが涙ぐんで一瞬歌えなくなったのが本編ラストの「LiNK U」。この楽曲で泣いていたファンも多かったと後に聞きました。

 その「LiNK U」を聴きながら、僕はamUとの出会いを思い出していました。そもそも、大阪の彼女たちの存在が東京でも知られ出したのは、2008年10月19日に名古屋で開催された「世界のFUN! FUN! FUN! Big17」だったと認識しています。このとき、Cutie Paiを見るために遠征したファンから「amUというグループが凄かった」という評判が広まり、その話を聞いた僕もYouTubeで動画を見て一気に魅了されます。そして「MUSIC MAGAZINE」2008年12月号の(→amazon.co.jp)「中田ヤスタカ/capsuleの時代」特集の巻頭にはこんな一文が。


大阪のamUの「カプセルガール」も、コアなテクノポップ好きの間で話題になっている。


 これを書いたのは当の僕自身なのですが、それほどamUという存在が気になりだしていたのでした。

 やっとamUのライヴを見たのは、2009年1月7日のあさがやドラム(追記:本当は2008年12月14日の高円寺HIGHでした)。同じくあさがやドラムでの2月21日のライヴ前後から、僕は「amUは希望」という言葉をいかれたように言いはじめます。


 acoちゃんが全部の赤のドットを描いたというふたりの衣装、楽曲とサウンド、そしてCDやグッズのアートワーク。最近、地下アイドルをめぐる商業的な構造の問題点について考えることが多いのですが、amUにはそういう壁を軽く突き抜けてしまいそうなクオリティがあります。

 彼女たちのライヴには未来へつながるものが存在して、だからこそ今日も僕の口からは自然と「amUは希望」という言葉がこぼれおちていたのです。

 amUを最前中央で見ながら、どんな場でもいいからひとりでも多くの人に彼女たちを見てほしいと思いました。汗と涙でぐちゃぐちゃになりながら。


 僕は「Perfume Ngiht」vol.5にamUを呼ぼうと決心し、オーガナイザーのmatekoiも賛成してくれ、amUも快諾してくれて出演が決定します。ただ、同時期に「EXTRA!!!」への出演が決まるなど、Perfume以降のテクノポップ・シーンの「青田刈り」のような状況にamUを巻き込んでしまった……という責任すら感じる事態にもなりました。

 しかし、生のamUのライヴを見たら、もっと多くの人に見てほしくなるのです。それはamUの魅力ゆえに。先に引用した「amUを最前中央で見ながら、どんな場でもいいからひとりでも多くの人に彼女たちを見てほしい」という記述は、そうした僕の当時の心情の反映であり、そのまま僕たちはamUを招く6月6日の「Perfume Ngiht」vol.5へと突き進みはじめます。

 「LiNK U」は、彼女たちが2008年の末から東京に進出し、徐々に固定ファンが増えてきた年末に、「そういえば!|amU Blog」などでタイトルの公募がスタートし、1月末に「amU Title Recruit!! project 完結|amU Blog」でタイトルが決定した楽曲です。地元である大阪で決して恵まれていると言える状況ではなかったamUが、東京でライヴが増えはじめた時期で、当時の現場に通っていたファンを意識してつづられた歌詞に与えられたタイトルは、「Link You」もとい「LiNK U」でした。

 そう、ほんの半年前は、20人にも満たない人数で現場をどうしたら盛りあげられるかの試行錯誤が行われていたのです。「カプセルガール」でロマンスが発動されていた現場なんて、想像できるでしょうか? amUの東京現場のいわば創成期であったその頃に、amUを目の当たりにした僕は、だからこそ過剰な思い入れがこの「LiNK U」に対してあり、その感情を今なおMIXやコールによって表出せずにはいられないのです。

 これは後付けの「物語」なんかじゃなくて、俺たちが生き抜いたリアルな歴史の「体験」なんだ、と。

 アンコールでは秋にアルバムがリリースされることが発表され、そこから新曲「Moco」が披露されました。これは「いける」感触です。約90分のライヴの後、amUによるファン全員のお見送りが行われてライヴを終了しました。

 後半のMCで「もっとたくさんの人の前で歌いたい」という趣旨の発言をacoはしました。現在のamUの体制が優れているだけに、ファンは必然的にこの先を考えることになります。

 「観覧記録 amU ファーストソロイベント - Aerodynamik - 航空力学」より。


秋にはアルバムをリリースするとのこと。この楽曲群は地下にしておくにはもったいないが、これからどう展開させていくつもりなのだろうか。やはり地道にライブハウスの対バンイベントで集客を増やし、レコード会社に拾ってもらうしかないのか。このユニットはどうもそういうものとはあまりそぐわないような気もする。ネットを使って独自の展開が出来ないものだろうか。


「105... : Q」より。


amUのDIYで等身大的なステージの作り込みっぷりと、まだ手の届くのような距離感の近さと、節度を持ちつつも程良くネジが飛んだような熱狂的な盛り上がりを見せる模範的なパーティーピープルに囲まれた、他のどこにも無いような(もちろん探せばあるのだろうが)ひたすら楽しい今のライヴ空間の状態が、今後いつまでも続いてくれればと願いたい。が、しかし、それはきっと儚いものであり、今が一番面白い瞬間なのかも知れないという思いが頭をよぎる。たぶん近いうちに彼女らはもっと大きな存在になり、今のライヴの見せ方やフロアのヴァイブスなどは(良くも悪くも)しだいに変化していくのだろう。そう思うと、どうしても一抹の淋しさが心に残ってしまうのだが、DIYに満ちた今のamUならではの独自の世界は崩さない形で活動を拡大させていくような、今までに無い上手い展開を期待したい。


 今回のファースト・ソロ・イベントは、企画がamU Planet、現場のスタッフがファン有志によるものでした。「Perfume Ngiht」vol.5と「popcorn.Q」は、スタッフと最前列のファンが完全に入れ替わっていたことに気づいた人もいるかもしれません。

 そうした手作りのライヴでも、amUは会場の徹底した装飾から、ファンへのグッズ配布、そしてこれまでになかった長時間のライヴなど、期待を見事に超えるステージを見せてくれました。今後もamU Planetが中心となった同様の体制で、amUの活動を支えてくれることを願わずにいられません。

 なんと105人だったという動員も、Perfume以降のテクノポップ・シーンの隆盛が彼女たちを押しあげた結果だと見ることもできるでしょう。しかし、amUとamU Planetは結局のところずっとそんな周囲の状況に左右されない高いクリエイティヴィティを維持しています。僕は、amUは実質的に6人組のインディーズ・バンドだと思いつつも、アイドルとして受容しているので、この幸福な時間が少しでも長く続いてほしいと願っていますし、それをamU Planetが実現してくれるであろうことを信じています。

 物販では、「カプセルガール」の新装版、「LIVE @ SHIBUYA DESEO」を購入。

 amUによるお見送りが終わるのを見届け、反省会へと向かいました。


amU「popcorn.Q」

amU「LIVE @ SHIBUYA DESEO」

amU「カプセルガール」新装版

投稿者 munekata : 2009年08月02日
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コメント

munekata様
コメレス有り難うございました!(感激) 
激しく頷きつつ . .

投稿者 chikappo : 2009年8月20日 11:59

>chikappoさん
あのステージがamU初体験、というのは彼女たちの世界観をストレートに体験できた点で幸運だったと思います。amUは22日にはあさがらドラムのような狭い会場でライヴをしますし、いろんな現場での彼女たちをぜひ見てみてください。きっといろいろな表情のamUを見ることができるはずです。
amUには、ファンがどんなに増えても、このままacoちゃんとmeruちゃんが好きなことをやれる環境にいてほしいなと願ってやみません。

>hironuxさん
過分なお褒めの言葉、ありがとうございます。
アイドルはたしかに儚さを抱えた存在ですね。とはいえ根本的にはアイドルという概念に収まらないのがamUの魅力であるわけで、これから変化の速度が上がっていっても、僕らに希望を与え続けてほしいです。
本当にいい空間でした。

投稿者 munekata : 2009年8月17日 00:45

素晴らしいレポに感激を禁じえません。

105分の1としてあの会場にいた身としては、あの時の高揚感と儚さを文章にすることが不可能と思っていましたが、それを見事に形にしていただいたことに感謝します。

私はamUは“夢を継ぐもの”だとおもっています。
Perfumeが先駆者として奪還した、閉鎖的・排他的な「アイドル」という存在の本来の姿を、圧倒的なクオリティとパフォーマンスと軽やかなワガママで乗り越え、夢と憧れと熱狂と慈愛いをLiNKする『希望』を受け継ぐもの、です。

本当にいい空間でした。
奇跡の(儚い)空間でしたね。

投稿者 hironux : 2009年8月14日 14:03

ステージの上を生きる場所とした人たちは皆、いつかこのようなレポを書いて下さる方が現れることを夢見て活動しているに違いありません。私はあのイベントが音も含め全くの初amU体験でしたが、私も、6人編成のバンドが、総力で求める世界を作っている事に、希望の星に出会った思いでした。長い地下アイドル文化の鬱閉した世界の壁を「質」の力でぷっ壊し新たな地平を示してくれたPerfume。その次の壁に楔を打ってるのがamUだと本当に思います。(勿論Cutie Paiという先輩の功績も..) いつも「amUが」主語になって走り続けて欲しい、そして後進も傀儡の道から脱して、自分たちを主語にしてもっともっと大きな幸せ・喜びを掴み取って欲しいと願ってやみません。 amUよ、どうか今のままで ..

投稿者 chikappo : 2009年8月13日 05:39

>Leoさん
まさにそんな感じですね。amUの場合、作詞やアートワークや衣装制作もしているので、そういうDIYな部分をうまくいかして活動するのって、この不況下だとどうしたらいいんだろうって、僕のようなヲタが考えてしまうわけです。
アルバムはこの調子だと期待できるので楽しみです!

投稿者 munekata : 2009年8月11日 00:47

お久しぶりです。Leoです。

Perfumeの通った道筋というものが、今は明確にあるだけに、amUのこの先に期待と心配が入り混じったような感じなんだなと、このエントリーを読んで感じました。

秋にアルバムが出るんですね。僕も聴いてみようと思います。

投稿者 Leo : 2009年8月10日 23:09
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