小心者の杖日記

2009年6月27日

庵野秀明総監督「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

 16時頃に起床したら、Twitterのタイムラインで「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に絶賛の嵐が吹き荒れていたので、来週見に行く予定を急遽繰りあげて、3時間後には劇場にいました。

 以下、直接的なネタバレは避けていますが、間接的な言及は行いますので、これからご覧になる方は各自の判断でお読みください。

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」はまさに序章に過ぎなかったのだと痛感させられる、期待を大幅に上回る内容でした。あまりにも壮絶。終盤に至っては、何度か涙を拭くことを余儀なくされました。

 2007年9月1日に公開された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は、基本的にテレビ・シリーズの第壱話から第六話をまとめたものでしたが、今日公開された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は、テレビ・シリーズの終盤まで一気に駆け抜けながら、同時に新作としての要素を大量に投入し、新旧の要素をマッシュアップしながら、猛烈なスピードで展開していきました。強烈なトランス感をもたらします。

 映像も、冒頭の数分で「これは一度見ただけでは脳が処理できない」と感じるほどの情報量。麻薬のような映像の快楽は新作でも健在です。戦闘シーンはもちろん、日常的な街の風景の描写も凄いです。

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のストーリーで特筆すべきは、シンジ、レイ、アスカといったキャラクターの性格がテレビ・シリーズよりも素直になり、コメディの要素も含めて幸福感が漂うなかで進行していたのが、終盤になって見事に暗転する点でしょう。こうした逆転の手法はドラマツルギーとしては別に目新しいものではありません。しかし、それに説得力と意外性をもたせ、戦闘シーンの入魂の映像とともに、最終的に感動を観客にもたらす点で、庵野秀明は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を軽く超えることに成功してしまいました。

 違和感が残ったのは、劇中で2ヶ所、歌詞入りの有名曲が使われた点です。とはいえ、こうした露悪的な演出はいかにも庵野秀明らしいとも言えるでしょう。また、新登場したマリの立ち位置がいまひとつ有効に機能していなかったような気もしますが、そこは次作以降に期待するべきなのかもしれません。

 ともあれ、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の公開に先駆けて「緊急声明」として発表された「所信表明文」の精神性が作品として見事に結実したことに震撼させられました。文化とは何だろう、と考えてしまったほどです。

 これから僕たちは次作までの長い時間を過ごさねばなりません。庵野秀明が自らの手でハードルをさらに上げ、しかも新作としての要素が多くなることが予想される次作を気長に待ちたいと思います。とりあえず、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のブルーレイディスクの発売を早く!

 なお、シールで封印された上に、中にも「ネタバレ注意」と明記されたパンフレットは、氷川竜介による鶴巻和哉監督のインタビューが非常に読み応えがあるので購入をお勧めします。

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の「破」とは、見事に「破壊」の「破」でした。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [Blu-ray]

投稿者 munekata : 2009年06月27日
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コメント

>ふみゆきさん
なるほど、そういう捉え方もあるのですね。というわけで、ブルーレイディスクの発売が待ち遠しいです。個人的に、1カ所目のほうが違和感が大きかったので。

投稿者 munekata : 2009年7月 2日 03:42

こんにちは。
以前、筒美京平さんの記事にコメントした者です。

>違和感が残ったのは、劇中で2ヶ所、歌詞入りの有名曲が使われた点です。

1ヶ所目の方、一瞬自分も違和感が有りましたが、
一年前まで住んでいた田舎(パンフp.18左上みたいな所)に住んでいた頃、
平日の17:00になるとケータイのFM音源で作ったような、
「茶摘み」や「富士山」などがスピーカーから流れて来たのを思い出しました。
庵野さんの地元でも同じような事が有ったのかも知れませんが、
もしそうなら都市部にしか住んだ事が無い人には分かりにくいと思うので、
DVD/Blu-rayではその辺の演出を補足して欲しいな、と思っています。
2ヶ所目の違和感に関しては皆さんと同じですw。

投稿者 ふみゆき : 2009年6月28日 19:54
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