小心者の杖日記

2009年2月 7日

安藤健二「封印作品の憂鬱」

 安藤健二「封印作品の憂鬱」(→amazon.co.jp)は、日本テレビ版「ドラえもん」、「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」、みずのまこと版「涼宮ハルヒの憂鬱」という3作品の封印の謎を追ったドキュメンタリー。その謎を追いかける安藤健二の姿勢には、自分にしかできない仕事を追い求める彼のアイデンティティへの渇望があり、だからこそこの本は安藤健二にしか書けない執念を感じさせる内容になっています。

 日本テレビ版「ドラえもん」では、いきなり田中角栄の話題が出てきて驚きますが、これが決して本筋と無縁ではないのは「事実は小説より奇なり」というべき部分です。「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」では、日本の円谷プロダクションとタイのソンポートが真偽を争う「76年契約書」のコピーが登場した瞬間にドキッとします。そして、その後にじわじわと当時の人間関係の生臭さが浮き彫りになっていくのです。

 みずのまこと版「涼宮ハルヒの憂鬱」については、角川のメディアミックスの手法や、社内抗争の爪痕など、思わぬ方向にまで話が飛びますが、それが封印の経緯を結果的に明確なものにしています。そして、最後に予言のように記された再アニメ化に関する記述。ファンなら呼んで損はないでしょう。「BUBKA」初出時の結論が消えているのには一安心しました。

 安藤健二の「封印作品」シリーズは、ライターやジャーナリストの仕事をした人間にしか理解できないレベルでハードな取材をしていて、それが業界内での彼の評価を高めています。序文に活躍できるメディアの少なさを嘆いている部分がありますが、この一冊が彼の活躍の場を広げることを祈りたいです。


安藤健二「封印作品の憂鬱」

[ 書籍 ]
投稿者 munekata : 2009年02月07日
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