安藤健二「封印作品の闇 キャンディ・キャンディからオバQまで」(→amazon.co.jp)は、「封印作品の謎2」を改題、加筆・修正、新編集した文庫。
「封印作品の謎2」については、「2007年にほとんど封印されている『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』を求めて」でもご紹介しましたが、文庫版のために書き下ろされた第5章では、遂に決定的と思われる理由を、小学館の元幹部からの証言を元に記しています。僕も「サイゾー」で「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」の絶版問題を扱った際には、藤子プロや小学館のあまりの防壁の高さに驚かされたものですが(ちなみに本書の319ページに出てくる『ある雑誌記者』とは僕のことです)、遂に安藤健二は裏を取ることに成功したわけです。核心部分を書いたこと自体もリスキーな行為なだけに、この新章には敬意すら感じました。「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」ファンは必読です。
本書で扱われている作品は、前述の「オバケのQ太郎」「新オバケのQ太郎」のほか、「キャンディ・キャンディ」「サンダーマスク」「ジャングル黒べえ」。通読して感じるのは、ジャーナリストとしての安藤健二の探究心の強さです。「キャンディ・キャンディ」については漫画原作システムの抱える問題点を竹熊健太郎に聞き、「ジャングル黒べえ」については黒人差別の当事者側にいるオスマン・サンコンに意見を求めています。必ずしもすべての作品の封印の謎は解けていないものの、それでも読後に不満が残らないのは、こうした取材の厚みによるものでしょう。それは結果的に、単なる金銭問題にとどまらない、サブカルチャーをとりまくビジネスの問題を浮き彫りにしています。
文庫化にあたり、引用図版が一気に増え、資料性が増した点も嬉しかったです。
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