玉川博章、名藤多香子、小林義寛、岡井崇之、東園子、辻泉「それぞれのファン研究 I am a fan」(→amazon.co.jp)は、ファン行為を社会学の視点から考察した論文集。
この本で最も刺激的なのは、辻泉によるジャニーズのファンの考察です。ここではファンの間に出回る怪文書に注目して、裏情報の流通や他者攻撃のために利用されてきた怪文書というメディアと、ファンのメンタリティを研究しています。そもそも僕はこうした怪文書の存在自体を知りませんでした。現物の写真もあるのですが、かなり恐いです。
玉川博章は、コミックマーケットのスタッフに着目し、ファン行為そのものよりもコミックマーケットというファンダムの場の形成に注力する人々を取材。名藤多香子は、「やおい」や「腐女子」と形容される女性による二次創作について、そうした文化を語ると内部からのバッシングを受ける可能性を指摘し、彼女自身も非常に慎重な筆運びをしています。小林義寛はエロゲーとパソコンの進化の歴史を記しているのですが、それはそのままひとつの個人史になっていて読み応えがありました。岡井崇之は格闘技について、プロレスのファンは物語消費、総合格闘技のファンはデータベース的消費という指摘をしているのが興味深いです。東園子は宝塚の文化を論じていますが、ファン行為への言及はやや物足りなく感じました。
雑誌の表紙の画像も参考資料として掲載されていますが、画質が荒かったり、不自然に人物を黒く塗りつぶしていたりするのは残念。これなら掲載する必要がないのではないでしょうか。
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