枡野浩一「ショートソング」(→amazon.co.jp)は、作者の初の長編小説。
19歳の童貞と25歳のプレイボーイのそれぞれの視点から交互に語られる構成は、最初こそグルーヴを削いでいるように感じられましたが、読み進むにしたがってつながりのスムーズさを増していきます。
短歌と恋愛を軸にして物語は進み、終盤で「喪失」が登場することで物語はクライマックスに。そして、短歌がテーマになっていたからこその、目が覚めるようなラストを迎えます。同時に、この小説が短歌を作ること、ひいては物を書くことの意味をストレートに語っていることにも気づかされました。これはとても清々しい青春小説です。
作中に大量に引用されている短歌は、枡野浩一自身の作品もあれば他の歌人の作品もあります。登場人物別に短歌を振り分けるうまさも、作者ならではでしょう。
このエントリーのトラックバックURL : http://www.outdex.net/mt/mt-t-b.cgi/1294