森健「グーグル・アマゾン化する社会」(→amazon.co.jp)は、「ロングテール」や「Web2.0」といった言葉がもてはやされる一方で、情報が多様化しているのに一極集中現象が起きている現状をレポートした本。梅田望夫が「ウェブ進化論」(→amazon.co.jp
)で書いていたシリコンバレー的なオプティミズムとは対照的な内容です。
筆者は、AmazonやGoogleで用いられているアルゴリズムなどシステム面も詳しく解説していき、その優れた側面と危惧すべき側面をともに明らかにしていきます。それは、情報と富が一極集中することへの問題提起です。そして、線虫の神経細胞ネットワークや哺乳類の脳のネットワークをも例に出して、一極集中型のハブを持ついくつものクラスターが多くの場面で発生することを紹介し、スケールフリー・ネットワークや収穫逓増といった科学的な概念を提示します。そうした一極集中の例としては、タグやパーソナライゼーションも指摘の対象に。そして最終章では、技術的なアーキテクチャーが主体性ある思考を脅かす危険性を指摘します。
同じ森健による「インターネットは『僕ら』を幸せにしたか?―情報化がもたらした『リスクヘッジ社会』の行方」(→amazon.co.jp)を読んだ際にも感じましたが、Web2.0なシステムも結局は使う側を映す鏡に過ぎず、インターネットはそのメディアの特性ゆえに民度が増幅された形で結果を生み出していくことになるのでしょう。
あえて時代の潮流に逆らって、科学的な資料を提示しながらこの本を著して警鐘を鳴らした森健に敬意を表したいと思います。
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