枡野浩一「あるきかたがただしくない」(→amazon.co.jp)は、「週刊朝日」での連載などを集めたエッセイ集。
帯に「男が離婚を語ってはいけませんか?」とあるように、彼の離婚、というより彼の元妻が裁判所での約束に反して子供に会わせてくれないことについての話題が非常に多い本です。しかし、それほどプライベートで重い問題を抱えていて、なおかつその話題に繰り返し触れているのに、エッセイとして読ませるためのクオリティは常に保っており、しっかり枡野浩一の「芸」を感じさせる点に感心させられます。
その一方で、この本のタイトルを冠したエッセイ「歩き方が正しくない」は淡々と日常を記していて、結果として不器用なまでに実直な彼の性格が表れている文章です。このエッセイ「歩き方が正しくない」と本書のタイトル「あるきかたがただしくない」を併せて考えたとき、枡野浩一が抱える苦悩を垣間見た気分になりました。
登場人物の紹介があったり、佐藤ゆうこや河井克夫のマンガがあったり、むらやまじゅんや長嶋有との対談があったりと1冊の中でも工夫が凝らされており、あとがきにある「仲間にも恵まれている」という一節もよく理解できる内容です。そしてそこに本書の救いを感じました。
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