baritonesax1111

 JPNの話

 ドーム以降どうしてPerfumeが面白くないのかってことを考えることが多くて、それでアルバムを聴いて以降なおのことそう思うようになっていた。面白くないっていうのは私にとってPerfumeの「何が」面白かったのかってことを言語化することで、すっごくいろいろ考えたし、発売純にシングルアルバム聴き直して、ライブDVDも見直した。(そしたらなんか劣化してて見れなくなってたのもあった)
 で、結論としては等身大のPerfumeが好きじゃないってことだ。

   まず私の生い立ちから書かせていただくと、私のコンプレックスの最初は小学六年生の頃、ブラジャーをつけるほど胸がなかったことにさかのぼる。いや、それ普通なんですけどあのときの私にはテレビで細川ふみえが「ブラをつけ始めたのは小六」って言ってたのがすごく心に残っていて、これが私にとっての女性のモデルになっていたのです。(それ以外のふーみんのことはさっぱり覚えていないんだけど)
 で、女としての劣等感が中学生になってどうなったかというといったん棚の上におかれたのです。エヴァで。自分の女としての劣等感よりも先にエヴァのことが好きすぎて、エヴァの劇場版が気になりすぎて、エヴァの劇場版のビデオ発売が楽しみすぎて、エヴァの劇場版を繰り返し見るのが忙しすぎてあんまり記憶がないまま中学を卒業しちゃったんです。
 で、高校生になってようやく劣等感が芽を出すのかと思いきや、今度はテキストサイトが面白すぎて自分でもテキストサイトはじめたり、見始めたらウガニクのホームページが更新しなくなってやり場のない憤りをどこにもぶつけられなくて、ニッキモニ。面白くて、IV好きすぎて、アジア系に彼女ができて閉鎖して、侍魂がぶいぶい言わせすぎてムカついて、自傷系サイト巡回楽しくて、とかしてたら高校を卒業してました。
 でようやく自分の容姿に対する劣等感と大学生になって向き合うのですが、そこにすっぽり収まったのが「ドラァグクイーン」という概念でした。wikiによると「男性が理想像として求める『女性の性』を過剰に演出したこと」ということですが、可愛くも美しくもない自分が女性としてのアイデンティティ(というほどでもないけど)を保つために「女性性を過剰に演出する」っていうのはとても自然で、ジェンダー教育に力を入れていた(と言いはる)高校でどうしても疑問に思えるいくつかのことに対する答えとして「女性性で遊ぶ」っていうおちゃらけた発想が自分にぴったりだったのです。ドラァグクイーンの語源は「drag(引きずる)」とも言われていて、私の理想である「私には何もないもの(by綾波レイ)」が女性性や社会的地位、家族や偏見や国籍、重力を引きずりながら20cmくらいのヒールを履いて不自由に不格好にランウェイを歩くっていうのが私にとっての人生なんだって思うようになったんです。

   で、そういう私からすると等身大の私ってちゃんちゃら気持ち悪くて不愉快なんですよね。そもそも私は等身よりも大きくも小さくもないんだから。ステージに上がってるのにあるがままの私とかそんなの金払って見せるほどお前に価値があるのかよとまでは言いませんけど、私が見たいのはPerfumeであってPerfumeの等身大じゃないんですよねー。だから今回のアルバムJPNはその等身大の私がキラキラした音にのってぎゅうぎゅう詰まりすぎてなんか「面白くない」んですよ。「凵vのすっごくダサい大人っぽさに比べたら「JPN」の寒々しい等身大はまあマシなんですけど。なんかキラキラした感じと中田ヤスタカのメロディってなんかあわないと思う。

 あとライブパフォーマンス面では本当に踊らなくなったし、歌わなくなった。会場が広くなったから移動するだけでも大変だろうし、広いステージで常に3人のフォーメーションでちまちま踊られてもしかたがないかもしれないけど、かといってそれが踊らなくていい理由にも歌わなくなる理由にもフォーメーションがあんまり変かなくなる理由でもないと思うのです。3時間でフリが覚えられる割にはなんていうかその呑み込みの速さがステージにいかせてないっていうか。いつも通りじゃんって。
 あとな、身体的欠損のフォローである以上の理由しかないヒールやめればいいのに。足長く見せるためにヒールだけどんどん高くなってってもそれでダンスしないんだったら意味ないじゃん!
 2010年の攻めの年シングルで一番ひどかったのはダントツでVOICE!曲は空虚!PVの茶色の衣装ダサすぎ!575大事でもないのに二度言いすぎ!「合わせないで今はただ 本当のキミが知りたいの 線と線をつなげてこ everythingを合わせてこ」合わせるのかよ合わせないのかよどっちだよ!

   私の好きだったPerfumeはメロウなメロディと生楽器でないサウンドにどこかの不倫OLやどこかのSFみたいな歌詞がのっけられて、街にはいない服を着た女の子がコンテンポラリーダンスみたいなダンスを踊ってるっていう 、何でもなくって誰でもなくってどこにもないものだったんです。

 追記その1:このアルバムで一番許せないのは「時の針」。子供なめんな。子供の歌なめんな。

 追記その2:でも久しぶりに声に出して読みたいPerfumeが出てきた「良い心のスポーツしてるからね」